公開日:2026.10.25
NEWおとり物件とは?空き家・空室との違いと見分け方を解説

賃貸物件を探していて「気になる部屋を見つけて問い合わせたのに、すでに募集が終わっていた」という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。こうした物件を見ると「これっておとり物件なのでは?」と不安になりますよね。
ただし、問い合わせた時点で募集が終了していたからといって、必ずしもおとり物件とは限りません。掲載後に申し込みが入ったり、ポータルサイトへの反映が遅れたりして、すでに成約した物件の情報が一時的に残っているケースもあります。
この記事では、おとり物件とはどのようなものなのか、通常の空き家・空室との違い、見分けるためのポイント、遭遇した場合の対処法まで解説します。
おとり物件とは?

おとり物件とは、一般に、実在しない物件や、成約済みなどで実際には取引できない物件、実在していても取引する意思がない物件を広告に掲載しているケースを指します。「宅地建物取引業法第32条(誇大広告等の禁止)」および「不動産の表示に関する公正競争規約(景品表示法に基づく業界ルール)」により、おとり広告は明確に禁止されています。
- 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示
- 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示
- 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示
たとえば、すでに成約している物件を募集中として掲載し続けたり、実際には紹介する意思のない好条件の物件を掲載して問い合わせを集めたりするケースがあります。物件への問い合わせをきっかけに来店させ、別の物件を紹介するのも代表的なパターンです。
一方で、掲載されているのに契約できない物件が、すべて意図的に客を集めるために掲載されたものとは限りません。賃貸物件は募集状況が短期間で変わるため、申し込みや成約後に情報の更新が間に合わず、掲載が一時的に残ることもあります。
ただし、掲載した側に悪意がなかったとしても、成約済みなどで取引できない物件を掲載し続ければ、おとり広告の規制対象となり得ます。 不動産会社には、募集状況が変わった物件について速やかに広告を更新・削除することが求められます。
空き家・空室や募集中の物件との違いは?
おとり物件と通常の募集物件の違いは、広告にある物件を実際に取引できるかどうかです。通常の募集物件は、貸し出しや売却の対象として借り手・買い手を探していますが、おとり物件は、実在しなかったり、すでに成約していたりと、広告を出していても取引する意思がありません。
また、空き家・空室は、単に「現在、人が住んでいない状態」を表します。募集している物件もあれば、所有者が自分で使う予定などの理由で募集していない物件もあり、空いていること自体はおとり物件かどうかに関係しません。
そのため、見分ける際は、部屋が空いているかよりも、広告どおりの物件について申し込みを受け付けているかを確認しましょう。入居中で内見できない場合も、退去後の入居者を実際に募集しているのであれば、それだけでおとり物件とはいえません。
おとり物件と間違えやすいケース

掲載されているのにすぐ内見できなかったり、妙に条件がよかったりすると、つい「おとり物件ではないか」と疑いたくなりますよね。しかし、こうしたケースでも、実際は情報更新のタイミングや物件の事情によって、おとり物件に見えているだけの場合もあります。
ここでは、おとり物件と間違えやすい代表的なケースを見ていきましょう。
| ケース | 原因・背景 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 情報更新のタイムラグ | 申し込みが入った直後で、ポータルサイト上のデータ更新が間に合っていない | 「いつ埋まったのか」を明確に回答できるか |
| 管理会社の反映待ち | 仲介会社が最新の空室状況を管理会社へ確認中である | 案内できない理由が具体的か(確認中など) |
| 長期空室のテコ入れ | 長く空き家だったため、オーナーが家賃を下げたり敷金をゼロにしたりした | 理由を聞いた際に合理的な説明があり、実際に内見できるか |
情報更新が遅い・管理会社の反映待ち
掲載情報の更新や、管理会社からの確認に時間がかかっているケースです。
物件情報は、不動産会社や管理会社、ポータルサイトなど複数のシステムを通して掲載されることが多く、募集状況が変わっても、サイト上の情報が更新されるまでに時間がかかる場合があります。
また、仲介会社が最新の空室状況を管理会社に確認中だったり、鍵の手配や室内清掃が終わっていなかったりして、すぐには内見日を決められないこともあります。
このような場合は、「現在管理会社に確認している」「○日以降なら内見できる」など、案内できない理由が具体的に説明されるかを確認してみましょう。理由が曖昧なまま来店だけを勧められる場合は、少し注意が必要です。
長期空室で条件だけが目立つ
長く入居者が決まっていないため、家賃や初期費用などの条件を見直して募集しているケースです。
空室期間が長くなると、オーナー側も早く入居者を決めるために、家賃を下げたり、敷金・礼金を減らしたり、フリーレントを付けたりすることがあります。その結果、周辺の物件と比べて条件がよく見え、「こんなに安いならおとり物件では?」と感じることがあります。
ただし、実際に募集している物件であれば、条件がよいこと自体に問題はありません。問い合わせて募集実態があり、現地内見に対応してもらえるなら、オーナーが長期空室を解消するために募集条件を緩和した実在物件です。ただし、戸建ての長期空き家では、安さの裏に「契約不適合責任の免責(建物の不具合を入居者・買主が自己負担する特約)」や、残置物の撤去費用が自己負担となる条件が隠れている場合もあるため、契約前の重要事項説明などをしっかり確認しましょう。
おとり物件の見分け方

おとり物件かどうかを掲載情報だけで確実に見分けるのは難しいものです。ただし、家賃や条件、掲載されている情報、不動産会社の対応などから、判断材料を増やすことはできます。
ここでは、問い合わせの段階で特に注意したい、4つのポイントを紹介します。
相場より安すぎる・好条件すぎる
おとり物件は、問い合わせや来店につなげるために、相場より安い家賃や魅力的な条件で掲載されることがあります。そのため、周辺の物件と比べて家賃が極端に安かったり、駅近・築浅などの好条件がそろっていたりする場合は、少し注意して見てみましょう。
もちろん、条件がよいだけでおとり物件とは限りません。駅からの距離や騒音、日当たり、築年数などの事情から、家賃が低く設定されている物件もあります。
気になる場合は「なぜこの家賃になっているのか」を問い合わせてみましょう。理由が具体的で、実際に内見できるのであれば、通常の募集物件である可能性が高まります。
所在地・物件名・写真などの情報が少ない
おとり物件では、実際の物件を詳しく確認されにくいよう、所在地や物件名、写真などの情報が十分に掲載されていないことがあります。そのため、物件を特定できる情報が極端に少ない場合は、少し注意して見てみましょう。
ただし、物件によってはセキュリティやオーナーの意向などから、掲載できる情報が限られていることもあります。情報が少ないだけで、おとり物件と判断することはできません。
問い合わせた際に、物件名や所在地、現在の募集条件などを具体的に教えてもらえるか確認してみましょう。掲載日や更新日が確認できる場合は、情報が古くなっていないかも見ておくと安心です。
内見について具体的に案内してもらえない
おとり物件の場合、実際には案内できる物件がないため、内見の日程をはぐらかされたり、別の物件を勧められたりすることがあります。そのため、希望した物件の内見について具体的な話が進まない場合は注意が必要です。
もちろん、管理会社への確認待ちや室内清掃中など、正当な理由ですぐに内見できないケースもあります。「いつから内見できるのか」「現在も申し込みできるのか」などを聞き、案内できない理由を確認してみましょう。
理由が曖昧なまま来店だけを勧められたり、別の物件ばかり紹介されたりする場合は、ほかの不動産会社へ同じ物件を問い合わせてみるのも一つの方法です。
問い合わせても募集状況がはっきりしない
おとり物件の場合、問い合わせても具体的な情報を教えてもらえずに、はぐらかされることがあります。掲載されている物件について具体的に質問しても回答が曖昧な場合は、少し注意してみましょう。
問い合わせる際は、以下の点を確認してみましょう。
- 現在も入居者を募集しているか
- すでに申し込みが入っていないか
- 内見できるか、最短でいつ可能か
- 掲載されている家賃や初期費用に変更がないか
- 掲載内容と現在の条件に違いがないか
ちなみに、その場で答えられなくても「管理会社へ確認して折り返す」「○日までに確認する」など具体的な対応がある場合は、単に確認に時間がかかっている可能性があります。
おとり物件だったときの対処法

問い合わせた物件がおとり物件だった可能性がある場合は、その不動産会社にこだわらず、別の会社や物件へ切り替えましょう。あわせて、掲載内容と実際の説明に明らかな違いがあった場合は、記録を残して掲載サイトなどへ報告することもできます。
別の不動産会社・別サイトで物件を探す
まずは同じ物件を別の不動産会社でも扱っていないか確認してみましょう。別の会社へ問い合わせれば、本当に募集が終了しているのか、現在も内見できるのかを確認できる場合があります。
すでに募集が終わっている場合は、その物件にこだわらず、同じエリアや家賃帯で別の候補を探すのがおすすめです。物件探しを続ける場合は、募集状況や内見日程を具体的に案内してくれる会社を選ぶと、その後のやり取りも進めやすくなります。
代替物件を勧められた場合は希望条件に合うか確認する
問い合わせた物件の募集が終わっていた場合、不動産会社から代わりの物件を勧められることがあります。希望に近い物件を紹介することは通常の仲介でも行われるため、別の物件を勧められたからといって、必ずしも悪質な対応とは限りません。
ただし、紹介された物件が自分の希望に合うかは、あらためて確認する必要があります。「せっかく来店したから」「早く決めたいから」と申し込みを急ぐと、予算や通勤時間など、大切にしていた条件を妥協してしまいがちです。まずは、当初の希望と比べて何が違うのか、その違いを受け入れられるかを整理しましょう。
気になる物件があれば、間取り図や費用の見積書を受け取り、ほかの候補とも比較してみてください。十分な説明がないまま申し込みを急かされたり、希望に合わない物件ばかり勧められたりする場合は、その場で決めず、別の不動産会社へ相談することも検討しましょう。
掲載サイトに物件情報を報告する
掲載サイトによっては、募集終了後も掲載されている物件や、実際と異なる物件情報を報告できる窓口を設けている場合があります。
報告する場合は、掲載ページのURLやスクリーンショット、問い合わせた日時、実際に受けた説明などを残しておくと状況を伝えやすくなります。「募集終了と言われた」「掲載されている条件と説明が違った」など、確認できた事実を整理して伝えましょう。
悪質な場合は不動産公正取引協議会などへ相談する
数週間〜数カ月も成約済み物件が消えないなど悪質なケースは、各地域の「不動産公正取引協議会」や、不動産会社を指導監督する「都道府県の宅建業指導部局(免許行政庁)」に通報・相談できます。重大な違反が認められた場合、主要ポータルサイトへの掲載停止処分や、宅建業法に基づく業務停止などの行政処分が下されます。
A1. 不動産のおとり広告は、宅地建物取引業法第32条(誇大広告等の禁止)に違反するほか、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法第5条第3号)に基づく「不動産の表示に関する公正競争規約」違反となります。実在しない物件だけでなく、成約済みなどで取引できない物件や、取引する意思がない物件の広告も明確な違反・処分対象になります。気になる広告は記録を残し、掲載サイトや不動産公正取引協議会などへ相談しましょう。
A2. 現地集合で内見できることは判断材料の一つですが、それだけでは断定できません。広告にある部屋を見学できるか、現在も申し込みを受け付けているか、家賃や初期費用が掲載内容と一致するかも確認しましょう。
A3. 物件名・所在地・部屋番号などを特定し、現在の募集状況や内見可能日を掲載会社に確認しましょう。回答が曖昧な場合は、同じ物件を扱うほかの会社にも問い合わせて照合できます。ただし、募集状況は変わるため、情報の確認日時も合わせて確かめることが大切です。
まとめ|おとり物件を見極めながら空き家・空室を探そう
空き家や空室を探すときは、一つの掲載情報だけで判断せず、複数の物件を比較しながら条件や相場を把握しておくことが大切です。周辺の家賃や築年数、駅からの距離などを見比べておけば、極端に条件のよい物件があったときにも違和感に気づきやすくなります。
また、家賃や間取りだけでなく、所在地や初期費用、設備、掲載日・更新日なども確認してみましょう。掲載内容に気になる点があれば、現在も募集しているのか、内見できるのかを問い合わせて確かめておくと安心です。
条件のよい物件は短期間で申し込みが入ることもあるため、気になる物件を見つけたら問い合わせや内見予約は早めに進めたいところです。一方で、急いで契約する必要はありません。情報収集や内見までは早めに動き、契約は条件をしっかり確認してから決めることを意識して、納得できる物件を探していきましょう。
おとり物件を心配せずに空き家探しをしたい方は、アキサポが直接扱う販売中の空き家もあわせてチェックしてみてください。掲載物件は実際に取引可能な状態のものだけをご案内しています。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






