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公開日:2025.07.30 更新日:2025.07.29

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家の解体と補助金を徹底解説|知っておきたい制度と申請のポイント

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家を解体する際、費用の一部を自治体の補助金でまかなえる可能性があることをご存じでしょうか。うまく制度を活用すれば、数十万円単位で負担を減らせる一方、条件や手続きの不備によって支給されないケースも少なくありません。この記事では、補助制度の種類や、解体撤去にかかる費用を抑えるための補助対象要件、補助金額や申請書の準備、申請者の条件などを詳しく解説します。

家の解体に補助金が出る理由とは?

家の解体費用に関する補助金制度は全国数多くの自治体が実施しています。これは、空き家の長期化や老朽化が全国で深刻化し続けているためです。特に、不良住宅や危険性の高い建物については、早期の除却を促すために手厚い支給条件が設けられていることがあります。

長期化・老朽化した空き家は不動産の滞留や景観の悪化を招くだけでなく、破損や倒壊といった物理的な危険性や不審者の侵入、不法投棄などの治安悪化リスクにもつながります。こうしたリスクを排除するため、自治体は解体費用の補助を通じて空き家の撤去を推進しているのです。

中でも優先されるのが、耐震性に不安のある古い木造住宅やブロック塀といった災害リスクが懸念される建物です。また、災害時の緊急輸送道路沿いにある建築物も、災害時に道路を封鎖する恐れがあることから優先的対応されています。

また、老朽化した空き家の解体は土地活用を促すことにもつながります。地域の活性化という観点からも注目度が高い制度といえるでしょう。

家の解体補助金制度の種類

家の解体補助金制度は、解体する目的ごとに制度が分けられており、主な種類に以下のようなものがあります。

  • 老朽危険家屋解体撤去補助金
  • 木造住宅解体工事費補助金(旧耐震空き家解体補助金)
  • アスベスト除去・ブロック塀撤去に関する補助金

注)自治体ごとに制度名が異なる場合があります

これらの補助金制度は市区町村が主体となって給付しているケースが多く、どの制度が用意されているかは自治体ごとに異なります。また、複数の補助金の支給条件に該当する場合は、自治体に制度の併用が可能かの確認や補助額の比較を行うのを忘れないようにしましょう。

ちなみに、補助金制度は年度ごとに先着順で受け付けている場合が多いです。途中で予算切れになると支給されない可能性があるので、申請時期はあらかじめ自治体に相談しておいてください。

老朽危険家屋解体撤去補助金

老朽危険家屋解体撤去補助金は、老朽化によって破損や倒壊などの危険がある家屋を対象に解体費用の一部を補助する制度です。助成金額や対象となる物件の条件は自治体ごとにことなりますが、一般的に以下のような傾向があります。

制度の傾向

  • 助成率:除去工事費の2分の1から10分の8程度
  • 助成限度額:30万円~100万円程度
  • 対象物件:住宅地区改良法に規定する「不良住宅」に該当する場合、自治体が定めた判定基準に該当する場合

この制度は具体的な条件が自治体ごとにかなり異なります。利用を検討する際には、必ず物件がある自治体の窓口に確認しましょう。同じ都道府県内にあっても条件が違うこともあります。

また、解体費の内訳を記載した見積書や、解体業者の情報も申請時に求められるため、早めに準備しておきましょう。

木造住宅解体工事費補助金(旧耐震空き家解体補助金)

木造住宅解体工事費補助金は、経年劣化による耐震性の低下や、火災リスクが大きい木造住宅を対象とした補助金制度です。「旧耐震」といわれる1981年5月31日までに確認申請を受けた建物に限定されていることが多いです。

一般的な制度の傾向は以下のとおりです。

制度の傾向

  • 助成率:2分の1~3分の2程度
  • 助成限度額:20万円~50万円程度
  • 対象物件:旧耐震の建築物であること、耐震診断または簡易診断の結果が支給条件に該当すること

こちらの制度も具体的な条件が自治体ごとにかなり異なります。耐震診断または簡易診断を実施するタイミングにも決まりがある場合があるので、手続きは必ず自治体に相談してから始めてください。

アスベスト除去・ブロック塀撤去に関する補助金

健康被害を引き起こすアスベストや、耐久性に心配があるブロック塀の撤去に対する補助金制度です。これらは所有者だけでなく、周辺住民にも被害を与える恐れがあるため、積極的な撤去が進められています。

一般的な制度の傾向は以下のとおりです。

制度の傾向

アスベスト除去補助金

  • 助成率:2分の1~3分の2程度
  • 助成限度額:30万~200万円程度
  • 対象物件:アスベストを含む吹き付け材や保温材を使用していること、または使用している可能性があること

ブロック塀撤去補助金

  • 助成率:2分の1~3分の2程度
  • 助成限度額:10万~50万円程度
  • 対象物件:公共の道路に面しており、高さが一定以上かつ危険と認められるもの

家の解体補助金を受けるための条件

家の解体補助金を受け取るには、物件・申請者・工事の3つの側面で条件を満たす必要があります。どれか1つでも要件から外れると、補助が受けられない可能性があるため、事前の確認が欠かせません。ここでは、具体的な条件と注意点を順を追って解説します。

物件条件:老朽度・耐震基準

補助金の対象になる物件は、多くの場合、建物の耐久性や撤去工事をすべき緊急性に問題があることが前提になっています。中でも重要視されるのが老朽度と耐震基準です。

まず、老朽度で重視されるのは、外壁や屋根材などが破損したり、建物が倒壊したりして周囲に被害を及ぼす危険性です。特に人通りが多い道沿いや通学路沿いなどは危険視されており、老朽度が高いと特定空き家に指定される場合もあります。

また、耐震基準については、現在の耐震基準を満たしていないとされる、1981年5月31日までに確認申請を受けた「旧耐震」の建築物であることが条件とされることが多いです。

申請者条件:所有者や税金の滞納状況

空き家の解体補助金を申請できるのは、空き家の所有者に限定されることがほとんどです。たとえ家族であっても、名義が異なる場合や相続登記が済んでいない場合には、補助申請ができないことがあります。

また、申請先の自治体における税金を滞納していないことも求められることがほとんどです。

空き家の相続が済んでいない場合や、所有者が老人ホームに入所している場合、遠方にいる場合などは手続きに時間がかかる恐れがあります。あらかじめ窓口で必要な手続きと書類を確認しておき、早めの対応を心がけましょう。

工事条件:施工業者の選定基準など

一部の自治体では、解体工事の施工業者に条件を設けている場合があります。たとえば、自治体内にある業者に限定したり、自治体内にある業者に発注した場合、補助金の額を引き上げたりすることがあります。

また、アスベストの除去を伴う場合は、アスベストを取り扱うための専門知識や技術、資格を有している必要があります。たとえば埼玉県さいたま市では、以下のようになっています。

建築物石綿含有建材調査者講習登録規程、第2条第2項に規定する建築物石綿含有建材調査者、第2条第3項に規定する特定建築物石綿含有建材調査者又は第2条第4項に規定する一戸建て等石綿含有建材調査者による調査に基づき実施するもの

引用:さいたま市

家の解体補助金の申請手順

補助金を受け取るには、工事前から完了後までの手続きを正しく踏むことが大切です。以下のような流れを意識して進めましょう。

【申請の基本的な流れ】

  1. 自治体の補助制度の確認
  2. 対象条件や必要書類のチェック
  3. 自治体の担当者と相談して具体的な流れを共有する
  4. 工事業者の選定
  5. 申請書類の準備・提出
  6. 審査及び交付決定通知の受け取り
  7. 解体工事の実施
  8. 工事完了の報告書類の作成・提出
  9. 補助金の受け取り

基本的に申請は着工前に行う必要があり、申請を忘れて着工すると補助金を受け取れないことがあります。また、審査には2〜4週間ほどかかり、書類の追加や現地調査、中間検査や完了検査が必要になることもあります。

完了後の報告には写真や廃棄物処理の記録も求められるため、担当者とよく話をして丁寧に準備を行いましょう。

家の解体にかかる費用相場と注意点

解体費用は建物の構造や立地、作業条件によって大きく変わります。木造住宅は1坪あたり3〜5万円が目安ですが、鉄筋コンクリート造では6〜9万円程度かかることもあります。重機が入らない狭小地や傾斜地では人力作業が必要となり、追加費用が発生しやすくなります。

古い建物ではアスベスト除去費が別途必要になることがあり、30万円以上かかる場合もあります。また、ブロック塀や浄化槽、庭石などの撤去が別料金となるケースもあるため、見積書で工事範囲をよく確認することが大切です。

補助金は全額カバーされるわけではなく、対象外の作業や上限を超える費用は自己負担となります。契約前に「補助対象・対象外」を明確にしておくことで、予想外の出費を防ぐことができます。

補助金が出ても気をつけたいリスク

まず気を付けたいのが、補助金の交付が決定したあとの書類の準備です。適切に完了報告がされなかった場合、補助金が支給されなくなるリスクがあります。特に工事中の写真については、解体後には撮影できなくなってしまうので、必要な写真のポイントを確認しておきましょう。

また、解体後は固定資産税の負担が増える可能性に注意が必要です。建物を取り壊すと、建築物がある土地に適用される「住宅用地特例」という控除制度が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍に上がる場合があります。建築物の有無は毎年1月1日時点を基準に判定されるので、年末に施工する場合は要注意です。

さらに、再建築を考えている場合は、都市計画法と建築基準法において問題無く再建築ができることを確認しておいてください。中には用途地域や接している道路の関係で、一度更地にしてしまうと再建築ができなくなる場合があります。

解体後の土地活用アイデア

建物を取り壊す際には、固定資産税の負担軽減や土地の有効活用といった観点から土地の立地や形に合った活用方法を考えておきましょう。

まず短期的な活用方法として人気なのが、月極やコインパーキングなどの駐車場運用です。初期費用が比較的少なく、工事後すぐに始めやすいです。建築物を建てるまでの一時的な活用方法として選ばれるケースも多いです。

ただ、舗装や砂利敷は100万円単位の費用がかかることがほとんどです。必ず周辺の需要を確認したうえでスタートしてください。

長期的な活用方法としては、アパートやマンション、長期的に土地を貸し出す定期借地権付き住宅などが挙げられます。立地が良い土地の場合は、事務所や店舗などの事業用として活用する選択肢もあります。

立地が良い土地ほど大きな収入を得られる可能性がありますが、一方で固定資産税も高くなります。活用方法を決める際には、収支のバランスや将来的な固定資産税の推移を検討しながら、損をしない方法を選びましょう。

まとめ・総括

家の解体と補助金制度を上手に活用するためには、事前の情報収集と正確な手続きが不可欠です。補助金の有無や内容は自治体ごとに異なり、申請条件や支給タイミングも一律ではありません。まずは、自分の地域の制度を調べ、必要に応じて窓口や専門家に相談することが大切です。

また、空き家を解体する際には、その後の土地活用や税負担にも目を向けた計画を立てましょう。解体をきっかけに費用負担が重くなっては元も子もありません。

解体は単に古い建物を壊すだけではなく、資産の整理と再設計のきっかけにもなります。補助金をきっかけに動き出すのであれば、その先の使い方まで含めて判断することが、後悔のない選択につながります。今の家にリスクがあるか、補助金が使えるか、土地の未来をどう描くか。この3点を軸に考えることが成功のカギになるでしょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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