公開日:2026.09.21 更新日:2026.09.21
NEW更地の固定資産税はいくら?建物がある土地との違い・計算方法・負担対策

「空き家を壊して更地にすると固定資産税が6倍になる」と聞いて、解体をためらっていませんか?毎年の税金がどれくらい増えるのかわからないと、決断しにくいですよね。
更地の固定資産税を考えるうえでは、まず「なぜ税額が上がるのか」と「実際にどのくらい上がるのか」を整理して考えることが大切です。「6倍」という数字だけを見るのではなく、住宅がある土地との税制上の違いや、解体前後でどの税金が増減するのかを知ることで、実際の負担をイメージしやすくなります。
そこでこの記事では、更地にすると固定資産税が高くなる理由や具体的な計算方法、住宅がある土地との税額の違い、税額が変わるタイミングなどを解説します。空き家を解体するか迷っている方は、まず解体後の税負担がどのように変わるのかを確認していきましょう。
目次
更地にすると固定資産税が高くなる理由

更地の固定資産税が高くなる理由は、土地の固定資産税を最大6分の1に減額する「住宅用地の特例」が適用されなくなるからです。
具体的には以下の2点が変わります。
- 土地の税額:特例から外れ、最大約6倍に上がる
- 建物の税額:解体によってゼロになる
住宅が建っている土地は固定資産税の課税標準額が軽減されていますが、建物を解体して更地になると、原則としてこの軽減を受けられなくなります。これが「更地にすると固定資産税が6倍になる」といわれる理由です。
ただし、これは主に土地の課税標準額に着目した話で、実際に支払う固定資産税がそのまま6倍になるという意味ではありません。解体後は建物分の固定資産税がなくなるため、最終的な負担は土地と建物を合わせて考える必要があります。
では、住宅がある土地にはどの程度の軽減が適用され、更地になると税額はどのように変わるのでしょうか。ここからは、固定資産税・都市計画税の仕組みと具体的な計算方法を見ていきます。
更地の固定資産税・都市計画税の計算方法

更地にかかる固定資産税は、基本的に「課税標準額 × 税率」で計算します。固定資産税の標準税率は1.4%で、都市計画税がかかる地域では、さらに「課税標準額 × 都市計画税率(上限0.3%)」で算出した都市計画税が課税されます。
| 税金 | 基本の計算式 | 税率 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 課税標準額 × 固定資産税率 | 標準1.4% |
| 都市計画税 | 課税標準額 × 都市計画税率 | 上限0.3% |
| 年間の税負担 | 固定資産税 + 都市計画税 | ― |
たとえば、課税標準額が1,000万円、固定資産税率が1.4%、都市計画税率が0.3%の場合は、次のように計算できます。
- 固定資産税:1,000万円 × 1.4% = 14万円
- 都市計画税:1,000万円 × 0.3% = 3万円
- 合計:17万円
ただし、実際の固定資産税を考えるうえで重要なのが「住宅用地の特例」です。住宅が建っている土地では、税率を掛ける前の課税標準額そのものが軽減されています。更地にすると原則としてこの特例が外れるため、同じ土地でも税額が大きく変わります。
ここからは、固定資産税と都市計画税の違いや住宅用地の特例、実際にどのくらい税額が変わるのかを詳しく見ていきましょう。
住宅用地の特例の概要と適用される範囲
住宅用地の特例では、住宅が建っている土地の課税標準額が、面積に応じて次のように軽減されます。
| 土地の区分 | 対象となる範囲 | 固定資産税の軽減率 | 都市計画税の軽減率 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 1戸につき200㎡まで | 課税標準額の 1/6 | 課税標準額の 1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 課税標準額の 1/3 | 課税標準額の 2/3 |
200㎡までの「小規模住宅用地」は課税標準額が6分の1に軽減されます。「更地は固定資産税が6倍」といわれるのは、建物を解体するとこの軽減特例から外れるためです。
ただし、住宅用地として特例を受けられるのは、原則として住宅の床面積の10倍までです。また、敷地が広い場合や店舗などを併設している場合は、土地全体に同じ割合が適用されるとは限りません。実際にどの範囲が住宅用地として扱われているかは、固定資産税の課税明細などで確認できます。
固定資産税と都市計画税の違い
固定資産税と都市計画税は、どちらも土地や建物にかかる税金ですが、課税される対象や税率が異なります。
| 税金 | 主な課税対象 | 税率 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 原則として土地・家屋など | 標準税率1.4% |
| 都市計画税 | 主に市街化区域内の土地・家屋 | 上限0.3% |
固定資産税は原則として全国の土地や家屋が対象ですが、都市計画税は主に市街化区域内の不動産に課税されます。そのため、更地を所有していても都市計画税がかからない地域があります。
また、固定資産税は1.4%が標準税率、都市計画税は0.3%が上限ですが、実際の税率や課税の有無は自治体によって異なります。現在の税額を確認するときは、納税通知書に記載された課税標準額と税率を確認してください。
更地と住宅用地の税額をモデルケースで比較する
では、住宅を解体して更地にすると、土地にかかる税金はどのくらい変わるのでしょうか。参考に、課税標準の基礎となる土地価格を1,200万円、面積200㎡、固定資産税率1.4%、都市計画税率0.3%として比較してみましょう。
| 土地の状態 | 固定資産税 | 都市計画税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 2.8万円 | 1.2万円 | 4.0万円 |
| 更地(特例なし) | 16.8万円 | 3.6万円 | 20.4万円 |
| 差額 | +14.0万円 | +2.4万円 | +16.4万円 |
このケースでは、住宅用地だったときの土地税額は年間4万円ですが、更地になると20.4万円となり、年間16.4万円増える計算です。
ただし、この試算に建物の固定資産税は含まれていません。空き家を解体すると翌年度から建物分の固定資産税はなくなるため、実際の負担増は「更地になって増える土地の税額」から「なくなる建物の税額」を踏まえて考える必要があります。
※上記は住宅用地特例による違いを分かりやすく示した単純計算です。実際の土地の課税標準額には負担調整措置などが適用されるため、実際の税額とは異なる場合があります。
空き家を解体すると固定資産税はいつから変わる?

空き家を年の途中で解体しても、その年度の固定資産税がすぐに変わるわけではありません。固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の状態をもとに課税されるため、原則として解体の影響が表れるのは翌年度からです。
たとえば、2026年中に空き家を解体して2027年1月1日時点で更地になっていれば、2027年度から建物分の固定資産税がなくなり、土地は原則として住宅用地の特例が適用されなくなります。一方、1月1日時点で住宅が残っており、その後に解体した場合は、その年度の課税には1月1日時点の状態が反映されます。
特に年末前後に解体を予定している場合は、解体日だけでなく、1月1日時点で土地がどのような状態になるかを確認しておきましょう。
建て替え中でも住宅用地の特例が続く場合がある
1月1日時点で住宅を建築中の土地は、原則として住宅用地の特例を受けられません。ただし、もともと建っていた住宅を取り壊して建て替えている場合は、一定の要件を満たすことで、住宅が完成していなくても特例が継続されることがあります。
建て替え特例(建替え中の住宅用地の特例)が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 前年の1月1日時点で住宅用地であったこと
- その年の1月1日時点で住宅の建設に着手している(基礎工事など)こと
- 建て替え前後の土地・建物の所有者が原則として同一であること
ただし、具体的な要件や着工時期の扱い、必要な申告書類は自治体への確認が必要です。年をまたいで建て替える予定がある場合は、解体日や着工予定日を整理したうえで、土地がある自治体の固定資産税担当窓口へ事前に相談しておきましょう。
管理不全空家等・特定空家に指定されても住宅用地の特例が外れることがある

建物を残していても、適切に管理されておらず「管理不全空家等」や「特定空家等」に指定されると、住宅用地の特例が外れることがあります。
「管理不全空家等」とは、このまま放置すると「特定空家等」になるおそれがある空き家で「特定空家等」は、倒壊など保安上の危険がある、衛生上有害となるおそれがあるなど、周辺の生活環境へ深刻な影響を及ぼす状態の空き家を指します。
「特定空家等」や「管理不全空家等」は、指定や指導の段階では特例は外れません。しかし、自治体から「勧告(空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく)」を受けると、その翌年度から住宅用地の特例(地方税法上の軽減措置)の適用対象外となります。
固定資産税を滞納した場合のペナルティ
固定資産税を納期限までに支払わないと、地方税法に基づき延滞金が加算されます。延滞金の割合は年利で定められており、最初の1か月とそれ以降で利率が大きく跳ね上がります(具体的な割合は各自治体の条例や告示をご確認ください)。
たとえば、20万円を2か月滞納すると単純計算で約2,000円の延滞金がつきます。滞納期間が長引くほど延滞金は膨らむため、未払いに気づいたら早めに対応しましょう。なお、延滞金の割合は年によって変わります。
また、督促を受けても納付しない状態が続くと、預貯金や給与、不動産などの財産が差し押さえられることがあります。更地にしたことで固定資産税の負担が増え、納期限までの支払いが難しい場合は、そのまま滞納せず自治体の納税担当窓口へ相談してください。事情によっては、徴収の猶予などを利用できる場合があります。
更地の固定資産税負担を抑える方法
建物を残す以外にも、保有期間を短くしたり、住宅用地として利用したりすることで更地の固定資産税を抑えられる場合があります。主な方法は次のとおりです。
今後使う予定がない土地は、早めに売却して固定資産税や管理費を支払う期間を短くします。
危険な空き家を解体した更地に対し、数年間は税負担の急増を緩和する制度があるか確認します。
1月1日時点で家が建っていれば、その年は特例が適用されます。解体時期を調整して1年分を節税します。
税負担を軽減するために土地・建物を「活用する」選択肢も

空き家を解体するか迷っている場合は、土地や建物を活用して収入を得る方法も検討できます。活用方法によっては、固定資産税や管理費などの負担を収益で補えるほか、住宅として活用できれば住宅用地の特例を維持できる可能性もあります。
たとえば、次のような活用方法があります。
- 戸建て賃貸として貸し出す
空き家を改修して住宅として貸し出し、家賃収入を得る - 店舗・事務所などへ転用する
立地や建物の特徴を生かして、事業用物件として活用する - 更地を駐車場や貸地として活用する
建物を建てず、月極駐車場や資材置き場などとして貸し出す
どの方法が向いているかは、建物の状態や立地、改修費、周辺需要によって変わります。また、駐車場や店舗などに活用しても住宅用地の特例が適用されるとは限らないため、税額だけでなく、初期費用や毎月の収入まで含めて比較することが大切です。
こういった「空き家・空き地」の活用のプロフェッショナルである私たち「アキサポ」は、これまでに賃貸住宅や店舗、シェアハウス、民泊など、物件の特徴に合わせたさまざまな活用を行ってきました。「解体するべきか、それとも建物を残して活用できるのか」と迷っている段階からご相談いただけますので、空き家・空き地の使い道にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ|更地にするかは税額と解体後の使い道を見て判断しよう
空き家を解体すると住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税・都市計画税は上がりやすくなります。一方で、建物分の固定資産税や維持管理の負担はなくなるため、「更地にすると6倍」という数字だけで解体の是非を決めることはできません。
そのため、まずは現在の税額を確認したうえで、解体後に売却するのか、建て替えるのか、それとも建物や土地を活用するのかまで考えてみましょう。今後の使い道が見えてくると、解体費用や固定資産税、将来得られる収入まで含めて比較しやすくなります。
私たちアキサポでは、空き家を残して活用する方法から、解体後の土地活用まで幅広くご相談を受け付けています。「この空き家は本当に解体したほうがよいのか」「残したまま活用できないか」と迷っている段階でも構いません。税負担だけで判断せず、建物と土地をこれからどう生かしていくかまで含めて、一緒に選択肢を整理していきましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






