公開日:2026.10.02 更新日:2026.09.08
NEW一般媒介契約とは?メリット・デメリットと専任媒介との違い

不動産を売却する際、不動産会社へ仲介を依頼するなら「媒介契約」の締結が基本です。契約形態には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、売主の自由度や不動産会社が負う義務の内容がそれぞれ異なります。
本記事では「複数社に頼むとトラブルにならない?」「専任媒介とどちらが得?」と悩む売主の方のために、一般媒介契約のルールや期間、レインズ登録、メリット・デメリットをわかりやすく解説。「一般媒介契約」に焦点を当て、複数社との契約ルールや期間、レインズ(REINS)への登録義務、明示型・非明示型の違いといった基本事項を網羅しました。
目次
一般媒介契約の基本

媒介契約は主に「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類に分かれます。このなかで一般媒介は、売主側の制約が比較的少ないタイプ。最大の特徴は、売主が同時に複数の不動産会社へ依頼できる点にあります。「売主の自由度が高い代わりに、不動産会社に課される義務が少ない」という位置づけになりますが、手軽さだけで選ぶと、各社の販売活動が手薄になったり連絡管理が煩雑になったりするため、契約ルールや運用のコツまでセットで理解するのがポイントです。
一般媒介契約の特徴

一般媒介は「自由度が高い」反面、「不動産会社側の義務が少ない」契約形態。同じ一般媒介でも担当会社によって動きの質にバラつきが出やすいため、事前に売主側から条件や要望を提示し、合意を形成しておくのがポイントです。
「売却スピード」「情報の拡散力」「管理の手間」「トラブル予防」のバランスを意識しながら、次の5つの重要項目をしっかり押さえておきましょう。
複数の不動産会社と契約できる
3タイプのうち、唯一複数社への同時依頼が認められているのが一般媒介契約です。会社ごとの広告戦略や抱える顧客層、営業担当者の強みをフル活用できるため、需要が高い人気物件ほど健全な競争原理が働きやすくなります。
ただし、窓口が増える分だけ売主側の管理負担も増加。内覧調整の重複や、同じ購入希望者が別会社から二重にアプローチしてくるなど、やり取りが錯綜しがちです。
連絡手段をメールに一本化し、内覧日を固定するなど初期ルールを統一するのがおすすめ。また、各社で掲載価格が異なると買い手の不信感を招くため、価格改定は全社へ同時に共有することが大切です。
契約期間の目安と更新の考え方
法律上の一律な上限はありませんが、実務上は「3か月」を一区切りとする運用が一般的。反響の確認から内覧、購入申込といった売却プロセスの進捗を検証し、施策の良し悪しを見極めるのにちょうどよい期間設定です。
更新の判断は感覚に頼らず、アクセス数や内覧件数といったデータに基づいて冷静に行いましょう。
反響そのものが少なければ掲載写真や価格設定の変更、内覧はあるのに成約に至らない場合は室内の清掃状態や引き渡し条件の再検討が必要です。期間満了時には単純な延長にとどめず、販売図面の修正や値下げの判断ラインまで詰めておくと、次の3か月で成果につながりやすくなります。
レインズ登録と報告義務の有無
一般媒介契約では、宅建業法上、不動産流通標準情報システム「レインズ(REINS)」への物件登録義務や、売主への定期的な業務処理状況の報告義務が不動産会社に課されていません。そのため、契約時に任意の特約として登録や定期報告を依頼しておくことが重要です。
レインズに登録されると他社経由の客付けが一気に広がるため、契約時に「登録してもらえるか」「登録証明書を発行してもらえるか」をしっかり確かめておきましょう。
あわせて、報告義務がない分「週1回」「隔週」など連絡頻度を取り決める工夫も重要。問い合わせの質や内覧者の反応、次の一手まで踏み込んだ報告を義務づけておけば、迅速な軌道修正が可能となり、売却期間の長期化を防ぐ効果が期待できます。
自己発見取引ができる
売主が自分で買主を見つけた場合、仲介会社を通さずに直接売買契約を結べる点も特徴的。親族や知人など購入希望者が身近にいるケースでは、高額な仲介手数料をゼロに抑えられる点が大きなメリットです。
しかし、不動産取引には境界の確定や「契約不適合責任(引き渡し後に雨漏りやシロアリなどの欠陥が見つかった際、売主が負う法的な修補・賠償責任)」など重大なリスクが伴います。親しい間柄であっても深刻なトラブルに発展しかねません。
個人間売買を選ぶ場合でも、重要事項説明書の作成や契約書のリーガルチェックだけを有料でプロに依頼するのがおすすめ。司法書士や宅建士のスポット支援を上手に取り入れることで、費用を抑えつつ安全な取引を実現できます。
明示型・非明示型の違い
・注意点:新規で契約会社を増やすたびに、既存の依頼先すべてへ通知する手間が発生する
・注意点:ライバルの動きが見えないため不動産会社が本気度を下げやすく、後回しになりやすい
一般媒介には「明示型」と「非明示型」の2つの運用パターンが存在します。他社と契約している事実や会社名を包み隠さず伝えるのが「明示型」、通知を省略できるのが「非明示型」です。
各社の競争意識を高めて営業活動を活発化させたいなら、明示型の選択がおすすめですが、提携先が増えるたびに関係各社へ通知しなければならず、管理の手間は一段と重くなります。
契約先への連絡漏れは、広告費の負担などをめぐる深刻なトラブルの火種。管理シートを作成して依頼会社・担当者・連絡先を整理しておき、成約時には速やかに全社へ一括連絡できるよう準備を整えておきましょう。
仲介手数料の上限と目安

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で厳格に定められており、これを超える請求は違法です。一般的な取引における上限額(成約価格に応じた速算式)は以下のとおりです。
- 800万円超:「成約価格(税抜)×3%+6万円」+消費税
- 400万円超〜800万円以下:「成約価格(税抜)×3%+6万円」+消費税(※ただし「低廉な空き家等」の特例合意時は最大33万円(税込))
- 200万円超〜400万円以下:「成約価格(税抜)×4%+2万円」+消費税(※同上)
- 200万円以下:「成約価格(税抜)×5%」+消費税(※同上)
※2024年7月1日施行の国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号の一部改正)により、800万円以下の物件については、現地調査等の費用を勘案し、媒介契約締結時の事前合意・説明を要件として、売主から受領できる仲介手数料の上限が成約価格に関わらず最大33万円(税込)まで受領可能となっています。
一般媒介で複数社に依頼していても、仲介手数料を支払うのは「成約を成立させた1社のみ」というのが大原則。依頼したすべての会社へ支払うわけではないため、余計な費用を心配する必要はありません。
ただし、売主側の強い希望で特別な広報活動を行い、事前に実費負担を合意していた場合などは例外的に請求される可能性も。後々のトラブルを防ぐためにも、広告費や追加費用の発生条件は契約書面でしっかり確認しておきましょう。
一般媒介契約のメリット

最大の魅力は、複数社の営業力や販売ルートを同時にフル稼働できること。不動産会社ごとに得意な地域や抱える顧客層、広告メディアが異なるため、情報の間口を広げるほど優良な買主と巡り合う確率も高まります。
また、特定の担当者の提案や対応が期待外れであっても、他社への入れ替えや追加がスムーズに行えるため、会社選びの失敗リスクを分散できるメリットも。1社に任せきりにした結果、対応の遅れから売却期間が長引き、最終的に大幅な値下げへ追い込まれる事態を回避する手段として有効です。
あわせて自己発見取引も認められているため、知人や親族など身近な購入希望者と合意できれば、手数料を浮かせられる可能性があります。需要の高い人気物件なら、各社から集まる反響データを比較しながら「どの層から強い引き合いがあるか」を冷静に分析するのがポイントです。
一般媒介契約のデメリット・注意点

売主が直面しやすい課題となるのが、管理や連絡対応の多重化です。窓口が分かれることで問い合わせ対応に追われ、内覧の日程調整や鍵の受け渡し、各社が掲載する広告の擦り合わせなど、売主自身が「全体の司令塔」として動かなければならない負担はデメリットといえます。
さらに不動産会社側から見ると、「コストをかけても他社で成約すれば1円にもならない」という心理が働きます。そのため、専任契約に比べて優先度が下がりやすく、最低限のポータル掲載だけで様子見されてしまうケースも珍しくありません。放置を防ぐには、広告の掲載先や写真のクオリティ、定期的な報告頻度について事前に合意を交わしておくのがポイントです。
また、契約書の特約条項にも細心の注意を払いましょう。売主都合の解約時の扱いや特別広告の費用請求、成約時の通知義務などは、認識のズレからトラブルになりやすい項目です。不明な文言はその場で質問し、口約束ではなく書面にしっかり残す姿勢で臨むようにしましょう。
専任媒介・専属専任媒介との違い
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3つは、契約できる会社数や自己発見取引の可否、不動産会社側に課される義務の重さがそれぞれ異なります。
| 比較項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 契約できる会社数 | 複数社と同時に契約可能 | 1社のみ | 1社のみ |
| 自己発見取引(自己発見) | 可能(自分で買主を見つけてOK) | 可能(自分で買主を見つけてOK) | 不可(必ず依頼会社を通す) |
| レインズへの登録義務 | なし(任意) | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
| 不動産会社の報告義務 | なし(任意) | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 契約期間の法的一律上限 | なし(標準約款では3か月) | 3か月以内 | 3か月以内 |
| こんな人・物件におすすめ | 人気エリア・築浅・自分で管理できる方 | 一般的な物件・1社と密に連携したい方 | 売却を急ぎたい方・完全にお任せしたい方 |
まとめると、一般媒介は売主の自由度が高い反面、活動の進捗がブラックボックス化しやすい側面があります。対して専任・専属専任は不動産会社の責任範囲が明確なため、販売状況をしっかり把握しながら二人三脚で進めたい方におすすめです。
これらは、どれかひとつが絶対の正解というわけではありません。連絡や管理にかける手間をどこまで許容できるか、売却スピードと価格のどちらを重視するか、物件自体の需要がどの程度あるかを総合的に踏まえて判断するようにしましょう。
一般媒介契約がおすすめな人

一般媒介契約に向いているのは、買い手からの需要が十分に見込める好条件の物件を持っている方。駅近や築浅、人気の間取り、相場に見合った値付けなど強みが明確な不動産なら、露出を増やすほど問い合わせが集まりやすく、複数社による競い合いの恩恵を最大限に引き出せます。
また、各社とのやり取りを主体的にこなせる売主にも最適です。連絡方法の一本化や内覧スケジュールの調整、各社から届く反響データの比較など、管理業務を苦にせず動けるなら一般媒介の強みを存分に活かせます。多忙でこまめな進行管理が難しい場合は、1社に任せられる専任媒介を選ぶ方法も。まずは一般媒介で各社の対応スピードや提案力を比較し、もっとも信頼できるパートナーが見つかった段階で専任へ切り替える運用もおすすめです。
一般媒介契約で不動産会社を選ぶコツ
会社選びで最も気をつけたいのが、査定額の高さだけで即決しないこと。相場からかけ離れた高値で売り出してしまうと反響が集まらず、度重なる値下げによって「売れ残り感」が漂うリスクも。近隣の成約事例や競合物件の状況、需要の動向など、価格の根拠をロジカルに解説できる会社を優先するのがおすすめです。
あわせて、販売戦略が具体的かどうかも比較しましょう。主要ポータルサイトのどこへ掲載するのか、写真の見栄えやアピール文の改善提案はあるか、内覧者を成約へ導く補足資料(設備一覧やリフォーム履歴など)を用意してくれるかといった行動計画のチェックが重要です。一般媒介ではこの視点が抜けていると、「ネットに載せたきり放置」という最悪のパターンに陥りかねません。
情報共有の姿勢と連絡のレスポンスも見逃せないポイント。レインズへの登録予定や報告頻度、問い合わせ内容の共有範囲を契約前に明言してくれる担当者なら、売主側も安心して次の手を打てます。初動の返信スピードや説明の丁寧さ、デメリットまで包み隠さず話してくれる誠実さをしっかり見極めて契約先を絞り込みましょう。
まとめ
一般媒介は、自由に選べる分だけ「自分でなんとかしなきゃ」という場面が増える契約でもあります。レインズ登録も報告も、頼まなければ動いてくれません。
何社と話せばいいのか、この査定額は妥当なのか——一人で抱えて判断するのは、正直しんどいですよね。相続した家や実家の売却は、法律の話も気持ちの整理も一度に来るものです。急がなくて大丈夫です。今どんな状態か、どこに困っているかだけ聞かせてください。アキサポの無料査定なら、仲介・買取どちらが合うかも含めて、一緒に考えていけます。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。






