公開日:2026.10.10 更新日:2026.09.25
NEW空き家の水回りの管理方法とは?通水・水道停止・悪臭対策の基本

空き家の水回りを放置すると、排水口の「封水(ふうすい)」が蒸発します。その結果、悪臭や害虫の侵入、設備劣化を引き起こします。「どのくらいの頻度で水を出せばいい?」「遠方で通えない場合はどうする?」など、管理方法に悩んでいる方もいるでしょう。
そこで、空き家の水回りで起こりやすいトラブルをはじめ、水道を「止める・止めない」の判断基準、通水の頻度や方法、場所別の管理ポイントを解説。遠方で定期的に通水できない場合の対策もご紹介します。なるべく費用を抑えながら空き家を管理したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
空き家の水回りを放置すると起こるトラブル

水回りは「使わなければ劣化しない」と思われがちですが、実際はその逆です。空き家の水回りを放置すると、悪臭や害虫の侵入、水漏れ、水道管・設備の劣化など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
たとえば、長期間水を使わないと排水トラップの封水が蒸発し、排水口から下水の臭いや害虫が室内へ入り込む原因に。さらに、配管内部に錆や汚れが固着したり、冬場には水道管が凍結・破損したりすることもあります。
水回りの漏水や湿気で建物の腐食が進むと、改正空家法に基づく「管理不全空家」や「特定空家」に勧告される恐れがあります。勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1減額)が解除され、土地の固定資産税の実質負担が最大6倍(※税負担調整措置により実際の税額上昇率は3〜4倍程度となるケースが一般的)に跳ね上がります。
さらに、隠れた漏水やシロアリ被害を放置したまま売却すると、買主から民法上の「契約不適合責任」を追及され、損害賠償や修繕費用の請求、契約解除を求められるリスクがあります。
こうしたトラブルは建物そのものの劣化を早め、将来の売却や賃貸に影響する可能性があります。「しばらく使わないから平気」「遠くて見に行けない」と放っておくと、気づかないうちに被害が広がります。
排水トラップの封水切れによる悪臭
キッチンや洗面所、浴室などの排水口には「排水トラップ」があり、内部にたまった水(封水)がフタの役割をすることで、下水の臭いや害虫が室内へ入り込むのを防いでいます。
しかし空き家では、長期間水を流さないことで封水が徐々に蒸発し「封水切れ」が起こることも。排水口と下水管がつながった状態になり、悪臭が室内へ上がりやすくなります。封水が蒸発するスピードは、気温や湿度、排水トラップの形状によって異なります。特に気温が高い夏場は蒸発しやすく注意が必要です。
さらに悪臭を放置すると、臭いが壁紙や木部、建具などに染みつき、通常の換気や清掃だけでは取り除きにくくなるケースもあります。
水道管・配管の腐食や詰まり・害虫の侵入
長期間使わない配管は内部が乾き、金属の腐食やサビが進むときがあります。久しぶりに通水した際に赤水が出る場合は、配管が劣化している可能性も。特に築年数が古い空き家では注意したいトラブルです。
また、水を使わなくても詰まりが発生するケースがあります。排水口や排水トラップに残った油脂や汚れが固まり、久しぶりに水を流したときに流れが悪くなったり、逆流したりすることもあります。
さらに、排水トラップの封水が切れると、排水管を通じてゴキブリなどの害虫が室内へ侵入しやすくなります。特に洗濯機を撤去したあとの洗濯パンの排水口は見落としやすく、悪臭や害虫の侵入経路になることもあるため要注意です。
水漏れ・凍結による水道管の破損
空き家の水漏れで厄介なのは、小さな漏水が長期間続いても気づきにくいことです。居住中なら水音や湿り気などから異変に気づけますが、空き家では発見が遅れ、床下や壁の内部まで被害が広がることがあります。放置すれば、木材の腐食やカビ、シロアリの発生につながる可能性もあります。
また、冬季は凍結による水道管の破損にも注意が必要です。給水・給湯管や屋外水栓、給湯器まわりに残った水が凍結・膨張すると、配管に亀裂が入り、解凍後に水漏れが発生することがあります。
凍結は寒冷地だけのトラブルとは限りません。普段は比較的暖かい地域でも、寒波などで気温が氷点下まで下がれば、水道管が凍結する可能性があります。特に、冬場に長期間不在となる空き家や、屋外に配管が露出している住宅ではリスクが高まるでしょう。
水道は止めるべき?契約継続・停止の判断基準
「誰も住んでいないなら、水道代がもったいない」「でも、水道を止めて水回りに問題が起きないか心配……」と、契約を残すべきか迷う方もいるでしょう。
水道を停止すれば基本料金を抑えられますが、通水ができなくなることで水回りの管理に手間がかかる場合もあります。反対に、契約を継続すれば管理しやすくなりますが、基本料金や水漏れなどのリスクも考えなくてはなりません。
空き家の水道契約を残すメリット・デメリット
空き家の水道契約を残す主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| 区分 | 主な内容 | 留意点・影響 |
|---|---|---|
| 水道契約を残すメリット | 封水の維持、悪臭・害虫の防止、掃除やトイレの使用 | 基本料金が毎月発生する |
| 水道契約を残すデメリット | 固定費の発生、漏水発生時の水増し請求リスク | 退出時に止水栓を閉める対策が必要 |
| 水道契約を止めるメリット | 基本料金がかからず固定費を削減できる | 開栓手続きの手間と手数料が発生する |
| 水道契約を止めるデメリット | 通水不可による封水切れ、悪臭・配管劣化の進行 | 閉栓前の「封止作業」や冬場の水抜きが必須 |
水道契約を残すか迷ったときは「定期的に空き家へ通えるか」「今後も建物を使う予定があるか」を判断軸にするのがおすすめです。
たとえば、定期的に訪問できる場合や、近い将来に売却・賃貸を予定している場合は、水道契約を残しておくと管理しやすくなります。内見前の清掃にも水を使えるため、売却活動を始める際にあわてて開栓する手間も省けます。
一方、水漏れが心配な場合は、契約を残したままでも、空き家を離れる際に止水栓を閉める方法があります。ただし、給湯器など設備によって適切な管理方法が異なるため、取扱説明書やメーカーの案内も確認しておきましょう。
基本料金だけで「もったいない」と判断するのではなく、水道を使える状態にしておくことで減らせる管理の手間や、将来の利用予定まで含めて比較することがポイントです。
水道を止める場合の注意点|停止・再開の手続きと費用
水道を停止する際の手続きや費用は、地域の水道事業者によって異なります。申し込み方法や期限、立ち会いの有無などを事前に調べておきましょう。
水道の開栓には立ち会いや手数料が必要となるケースがあります。また、将来実家を売却する際に「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除(空き家の3,000万円特別控除)」を活用する場合、売主が耐震改修や取り壊しを行うだけでなく、売買契約後に買主側が耐震改修または取り壊しを行うことでも適用要件を満たせる緩和措置(※譲渡年の翌年2月15日までに工事完了が必要)が設けられています。売主自身で解体・耐震工事を行う場合は工事前後に水道を使用するため、売却手法(現況渡しか解体・改修後渡しか)と税制の期限要件を逆算して閉栓時期を決めましょう。
水道を止めても悪臭や害虫のリスクがなくなるわけではありません。水を使わない期間が続けば排水トラップの封水は蒸発するため、閉栓前に水をため、排水口をフタやラップで覆うなどの対策が必要です。
冬場は、水道管の凍結にも注意しましょう。元栓を閉めても配管内に水が残っていると、凍結して破損する可能性があります。給湯器や屋外水栓なども含め、設備に合った方法で水抜きしておくと安心です。
空き家で通水が必要な理由と頻度の目安
通水には、排水トラップの封水を補充するだけでなく、水道管にたまった水を入れ替えたり、水漏れや排水不良などの異変を見つけたりする役割があります。
通水する頻度は、月1回程度をひとつの目安にするとよいでしょう。ただし、封水が蒸発するスピードは季節や室内環境、排水トラップの形状などによって異なります。特に気温が高い夏場は蒸発しやすいため、空き家の状態に合わせた管理が求められます。
空き家で通水する正しい手順|水漏れ・排水・封水を確認
空き家で通水する際は、いきなり蛇口を開けるのではなく、水漏れなどの異常がないかを確かめてから始めましょう。 基本的な手順はこちらです。
メーターが回っていないか(漏水がないか)を事前に確認します。
キッチン・洗面・浴室などの蛇口を開け、赤水や異音がないか調べます。
水がスムーズに流れるか、ゴボゴボ音がしないかを確認します。
排水トラップに水をため、閉め忘れやチョロ漏れがないか確認して退出します。
空き家の水回りを場所別に管理するチェックポイント

「空き家を訪れるたびに、すべての水回りを細かく点検するのは大変……」という方もいるでしょう。限られた時間で効率よく管理するには、キッチンや浴室、トイレなど、場所ごとにチェックする箇所を決めておくとスムーズです。
水回りは主に「給水側の水漏れ」「排水側の臭い・詰まり・害虫」「周辺の湿気・カビ」の項目で見ていくのがコツ。
特に配管の接続部や床まわりなど、水漏れが起きると建材まで被害が広がりやすい場所は見落とさないようにしましょう。
キッチン・洗面台|水漏れ・排水口・封水をチェック
キッチンや洗面台では、まず蛇口から水を流し、赤水や異臭、水圧の低下がないかを確認します。しばらく通水しても赤水などが続く場合は、水道管や設備が劣化している可能性があります。
あわせて見ておきたいのが、シンクや洗面台の下です。給水管・排水管の接続部分に水漏れやにじみがないか、収納内部にカビ臭や変色、木材のふくらみなどがないかを見ておきましょう。こうした変化がある場合、見えにくい場所で水漏れが続いている可能性があります。
排水口では水の流れや臭いを確かめ、排水トラップに封水がたまった状態にします。次回の訪問まで期間が空く場合は、排水口をフタやラップで覆っておくと、封水の蒸発や害虫の侵入を抑えやすくなります。
最後にシンクや洗面台の周辺に水分が残っていないかを見て、換気して湿気を逃がしておきましょう。
浴室|排水口・封水・カビ・換気をチェック
湿気がこもりやすい浴室は、空き家になると換気不足によってカビや設備の劣化が進みやすくなります。まずは排水口に水を流して排水トラップの封水を保ち、水の流れや逆流、異音などがないかを確認しましょう。
床や浴槽まわりに水が残っていないか、コーキングや目地にカビ・変色がないかも見ておきましょう。水分が残っている場合は拭き取り、換気扇を回すなどして湿気を逃がします。
あわせて換気扇の動作も確認します。動きが弱い、異音がするといった変化があれば、不具合が起きているサインかもしれません。浴室はカビが広がると清掃や補修の手間が増えるため、訪問時に排水と換気の状態をまとめて見ておくと効率的です。
トイレ|封水切れ・水漏れ・悪臭をチェック
トイレでは、まず便器内に封水がたまっているか、下水の臭いがしないかを確認します。水位が下がっている場合は一度水を流し、便器内の封水を戻しておきます。
水を流したあとは、タンクや便器内で水が流れ続けていないかにも注目。「チョロチョロ」と水音がする、便器内に水が流れ続けているといった場合は、わずかな漏水でも長期間続くことで水道料金がかさむ原因になります。
便器と床の接地部分や給水管、止水栓のまわりも見ておきたい箇所です。水のにじみや床の変色・湿り気、強いアンモニア臭などがあれば、設備の不具合や汚れが残っている可能性があります。
水漏れが心配な場合は、訪問時だけ止水栓を開け、退出時に閉める方法もあります。ただし、止水栓を閉めても便器内の封水は徐々に蒸発するため、長期間訪問できない場合は封水切れへの対策も必要です。
洗濯機置き場・屋外水栓|排水口・水漏れ・凍結をチェック
見落としやすいのが洗濯機置き場です。洗濯パンの排水口にも排水トラップがあり、封水が切れると悪臭や害虫の侵入につながります。特に洗濯機を撤去したあとは排水口が露出するため、フタがなければ封止しておきましょう。
水栓やホースの接続部分にも注意します。パッキンなどが劣化すると、蛇口を閉めていても少量ずつ水が漏れることがあります。水栓の根元や床に水滴、にじみ、水染みがないかを見ておきましょう。
屋外水栓では、水漏れに加えて冬場の凍結にも注意が必要です。屋外に露出した水道管や水栓は外気の影響を受けやすいため、寒い時期は水抜きや保温などの対策も検討します。
また、屋外の排水口に落ち葉やゴミがたまると、水が流れにくくなったり悪臭が発生したりする原因になります。敷地外まで臭いが広がったり、排水に問題が生じたりすると近隣トラブルにつながる可能性もあるため、訪問時にあわせて状態を見ておきましょう。
空き家が長期不在・遠方で通水できない場合の対策

定期的な訪問が難しい場合は、すべてを自分で管理しようとせず、管理代行サービスの利用や、長期不在に備えた水回りのメンテナンスを取り入れるのもひとつの方法です。訪問できない期間や空き家の状態、かけられる費用に合わせて管理方法を選びましょう。
空き家の管理代行サービスを活用する方法と確認項目
空き家の管理代行サービスを利用する際は、訪問頻度だけでなく、どこまで点検・対応してもらえるのかを確認しておきましょう。
主な確認項目は次のとおりです。
- 通水・換気に対応しているか
- 水道メーターから漏水の兆候を確認してもらえるか
- トイレや各排水口の封水を確認・補充してもらえるか
- 悪臭や床の濡れ、カビなども点検してもらえるか
- 写真付きの報告を受けられるか
- 異常が見つかった場合の連絡方法や対応範囲
- 修理業者の手配まで依頼できるか
特に、水回りの管理を目的に利用する場合は、単に「通水あり」と記載されているだけで判断せず、キッチン・浴室・洗面所・トイレなど、どの場所まで対応してもらえるのかを確かめておくと依頼後の齟齬を防げます。
管理代行には費用がかかりますが、自分で訪問する場合の交通費や移動時間と比較すると、負担を抑えられるケースもあります。空き家までの距離や訪問できる頻度を踏まえ、必要な作業だけを依頼するなど、自分で行う管理とうまく使い分けましょう。
止水・水抜き・排水口の封止で水漏れ・凍結を防ぐ
水漏れが心配な場合は、退出時に止水栓や水道の元栓を閉めておくと、不在中に漏水した際の被害を最小限に抑えやすくなります。ただし、止水しても排水トラップの封水は徐々に蒸発します。排水口に水を流して封水を補充したうえで、フタやラップなどで覆い、悪臭や害虫の侵入にも備えておきましょう。
凍結リスクの高い地域では、配管内に残った水を抜く対策も検討します。特に給湯器や屋外水栓、露出した水道管などは凍結の影響を受けやすいため、設備の取扱説明書などに沿って水抜きや保温を行います。自分で対応するのが難しい場合は、専門業者に相談するのも選択肢です。
また、湿気やカビを防ぐため、退出前に室内を換気しておくことも忘れずに。24時間換気などを継続して使用する場合は、設備の使用方法や電気代、防犯面も踏まえて判断しましょう。
まとめ|空き家の水回りは定期的な通水と適切な管理でトラブルを防ごう
空き家の水回りは、使わない期間が長くなるほど、封水切れによる悪臭や害虫、水道管・設備の劣化、水漏れなどが起こりやすくなります。月1回程度の通水をひとつの目安に、排水トラップの封水や水回りの状態を見ておくことが大切です。
水道契約を継続するか停止するかの判断ポイントは、基本料金だけでなく、空き家を訪問できる頻度や今後の利用予定、漏水・凍結のリスクです。水道を止める場合は、排水口の封止や水抜きなど、不在期間に合わせた対策が必要になります。
訪問時は、水道メーターやシンク下、トイレ、洗濯機置き場など、チェックする場所をあらかじめ決めておくと効率的。遠方で定期的な管理が難しい場合は、必要な作業だけ管理代行サービスへ任せる方法もあります。
まずは空き家を訪問できる頻度を整理し、自分でできる管理と外部に任せる作業を決めることから始めてみましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






