公開日:2026.09.28 更新日:2026.08.31
NEW古民家売買で失敗しないための基礎知識|契約・費用・注意点

古民家売買で気を付けたいことといえば「どこまで直す必要があるか」「購入後に大きな問題が見つからないか」といった、老朽化の問題が大きいですよね。見た目だけでは分からないことも多いので、ぼんやりとした不安を抱いている方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、古民家を購入するまでの流れと、内見・契約で確認したいこと、購入時から購入後までにかかる費用を解説します。気になる物件が見つかったとき、何を調べ、誰に確認すればよいかを整理するために役立ててください。
目次
最初に覚えておきたい、古民家の建物・土地に関する注意点2つ

まず覚えておきたいのは、古民家は長い年月を経ているぶん、建物や土地に何かしらの問題が隠れていることが多いということです。
そのため「古い家だから多少の問題は仕方ない」と考えて購入するのではなく、建物はどこまで手を入れる必要があるのか、土地や権利関係に購入後の利用を妨げる問題がないかまで確認したうえで判断することが大切です。
ここでは、古民家売買で気を付けるべき第一歩として「建物」と「土地・登記」の注意点を見ていきましょう。
見た目や築年数だけで建物の状態を判断しない
通常の中古物件は、築年数である程度の状態を予測できますが、古民家ほど年数が経過していると、物件ごとの差が大きすぎて難しくなってきます。
大切なのは、何年経っているかではなく、これまでどのように管理され、現在どの部分に傷みが出ているのかを見ることです。同じ築年数でも、定期的に屋根や外壁を補修してきた家と、長期間空き家だった家では、購入後に必要な工事や費用が大きく変わります。
そのため、古民家を購入する際は、住宅診断(ホームインスペクション)や、古民家の改修に詳しい建築士・工務店などに相談しながら、購入後にどこまで手を入れる必要があるのかまで確認しておきましょう。
土地や登記も「昔のまま」とは限らない
長く使われてきた物件では、増築や土地の使い方の変化などによって、現在の状況と登記や図面が一致していないことがあります。
たとえば、後から建てた離れや倉庫が登記されていなかったり、隣地との境界がはっきりしていなかったりするケースがあります。また、古くからある土地では、現在の建築基準法に照らすと接道条件を満たしておらず、将来の建て替えに制約が生じる場合もあります。
こうした条件は、建物の修理のようにお金をかければ直せるものではありません。だからこそ、古民家売買では「今その家を使えるか」だけでなく「購入後も希望する使い方を続けられるか」まで確認することが重要になります。
古民家の予算を考える際の注意点3選

古民家は、物件価格だけを見て予算を決めると、購入後に思わぬ出費が発生したり、本来の目的に合わない物件を選んでしまったりすることがあります。
特に意識したいのが「何のために買うのか」「どこにお金をかけるのか」「購入後まで含めていくら使えるのか」という3つの視点です。ここからは、古民家の予算を考える際に押さえておきたいポイントを順番に見ていきましょう。
予算は購入目的から逆算して考える
予算について考える際、まず決めておきたいのが古民家を購入する目的です。移住するのか、別荘として使うのか、店舗や宿泊施設として活用するのかによって、必要な立地や設備、改修する範囲は大きく変わります。
目的がはっきりすれば、予算を割くべき部分も見えやすくなるため、修繕やリフォームの方向性を決めやすくなります。まずは「購入後にどんな使い方をしたいのか」を具体的にし、それを実現するには何が必要なのかを考えるところから予算を組み立てていきましょう。
移住・別荘・事業利用でお金をかけるポイントを分ける
【優先コスト】断熱・水回り・暖房設備・日常の買い出しや通院など生活動線の確保。
【優先コスト】不在時の維持費・湿気通風対策・水抜き設備・スマート防犯や草刈り手配。
【優先コスト】建築基準法の用途変更・消防設備(自火報等)・駐車場・客用トイレ・保健所許可設備。
同じ古民家でも用途によってお金をかけるべき場所は変わります。目的に合わせて優先順位をつけることで、限られた予算を必要なところへ配分しやすくなります。
まず移住先として使うのであれば、建物の雰囲気だけでなく、通勤・通学、買い物、通院など、毎日の生活に無理がない立地かどうかを見る必要があります。地域によっては、冬季の積雪や道路状況も暮らしやすさを大きく左右します。
次に別荘利用の場合は、日常の利便性よりも、長期間留守にしても建物を維持できるかという視点が重要です。換気や湿気対策、草刈り、水抜き、防犯など、自分が現地へ頻繁に通わなくても管理できる仕組みに費用がかかる場合があります。
そして、店舗や宿泊施設などの事業に使うのであれば、集客できる立地だけでなく、用途変更や消防設備、駐車場などへの投資も考えなければなりません。
物件価格ではなく改修費を含む総予算で考える
リフォームや修繕の予算は「物件を買うための金額」ではなく「目的どおりに使い始めるまでにかけられる総額」から逆算して考えましょう。
古民家は購入価格が安くても、雨漏りや構造部分の補修、水回り・給排水・電気設備の更新、残置物の処分などにまとまった費用がかかることがあります。建物の状態によっては、改修費が物件価格を上回るケースもあります。
契約前に工務店などへ相談し、購入後すぐに必要な工事と、数年かけて進められる工事を分けて概算を出してもらうと、物件そのものに使える金額も見えやすくなります。
古民家を購入するまでの流れ

古民家の購入も、大まかな流れは一般的な中古住宅と変わりません。ただし、建物や土地に個別の問題が見つかりやすいため、内見後の調査と修繕費の見積もりに十分な時間を確保することが大切です。
| 手順 | 行うこと | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 1. 目的・予算の決定 | 購入後の用途と全体の予算上限を整理する | 居住、別荘、事業利用(店舗・宿泊)の用途を決める |
| 2. 物件探し・資料収集 | 登記、公図、測量図、課税明細などを確認 | 未登記部分や土地境界、再建築可否の有無を見る |
| 3. 現地内見 | 建物、敷地、道路、設備、周辺環境を確認 | 雨漏り、シロアリ、傾き、水回りや電気の容量を見る |
| 4. 専門調査・改修見積 | インスペクション実施、工事費の概算 | すぐ必要な工事と将来の工事を分けて試算する |
| 5. 条件交渉・売買契約 | 重要事項説明を受け契約書を交わす | 契約不適合責任の範囲や残置物処理の負担を明記する |
| 6. 決済・登記・引き渡し | 残代金の支払い、所有権移転登記 | 名義変更を確実に完了し、鍵や書類を受け取る |
なお、売主から購入申込を急かされた場合でも焦りは禁物です。建物調査(インスペクション)や改修見積もりの期間を確保しましょう。調査完了前に契約せざるを得ない場合は、「ローン特約」「農地転用等の許認可特約」「重大な欠陥判明時の解除特約(インスペクション特約)」などを売買契約書に盛り込めるか宅建業者等に相談してください。
古民家売買で確認すべき建物・土地・権利・生活環境のポイント
古民家には、購入後に工事で改善できる部分と、自分では簡単に変えられない条件が混在していることがあります。そのため、建物そのものの傷みだけでなく、土地や権利・法規制、生活インフラや周辺環境まで含めて見ておく必要があります。
そこでここでは「建物」「土地・権利」「生活環境」の3つに分けて、購入前に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。
建物の状態(雨漏り・シロアリ・傾き・設備)
建物の状態を見る際には、そのまま使える部分と、購入後に修繕が必要な部分を見極めるところから始めましょう。特に雨漏りやシロアリ、建物の傾きなどは、放置すると工事の範囲が広がり、購入後の費用にも大きく影響します。
雨漏りは天井のシミだけでなく、小屋裏の黒ずみやカビ臭、屋根・軒裏の傷みなどにも表れます。床下の湿気や蟻道、柱・土台の食害はシロアリや腐朽を疑う手がかりになり、床の沈みや柱・建具のずれから建物全体の傾きが見つかることもあります。
設備については「古いけれどまだ使えそう」という見た目だけで判断せず、給排水の漏れや電気容量、給湯器、浄化槽、井戸などの状態と更新時期を確認しておきましょう。
土地と法規制(境界・接道・地目・再建築可否)
土地については、境界標や越境の有無、前面道路の種類と幅、接道する長さ、私道負担を確認します。登記上の地目が宅地以外になっていないか、敷地に農地や山林が含まれていないかも見逃せません。見た目は一続きでも、複数の筆に分かれ、所有者まで異なる場合があります。
増改築や用途変更を考えている方は、都市計画法・建築基準法上の制限、再建築の可否、建築確認関係書類の有無を自治体や専門家へ確認しましょう。「現在住めること」と「希望する工事ができること」は別の問題です。
生活インフラと周辺環境
古民家を購入するときは、実際にその場所で無理なく暮らしたり、管理したりできる環境かどうかも確認しておきたいポイントです。特に郊外や山間部では、都市部と同じようにインフラが整っているとは限りません。
上下水道が整備されていない地域では、井戸や浄化槽を使っていることがあります。現在使用できるかだけでなく、水質検査や維持管理、くみ取り、将来の更新にいくらかかるかも確認しましょう。電気容量が小さい、都市ガスが通っていない、通信回線を選べないといった条件も、入居後の暮らしや事業運営に影響します。
また、周辺環境は地図上の距離だけで判断せず、実際の移動時間まで確かめておくことが大切です。買い物や通院、通勤・通学のしやすさに加え、積雪のある地域なら冬場の道路状況、災害時の避難経路なども見ておきましょう。
建物は工事で改善できても、立地や交通の不便さ、管理のしにくさは購入後に変えにくいため、実際の使い方をイメージしながら判断しましょう。
古民家の売買契約で確認すべき条件

古民家の契約では、調査で分かった不具合や、売主・買主が引き渡しまでに行うことを、書面へ落とし込めているかが要点です。重要事項説明書、売買契約書、物件状況等報告書、設備表を照らし合わせ、口頭説明との食い違いや記載漏れがないか確かめましょう。
現況有姿と契約不適合責任の範囲
古民家を購入するときに注意したいのが「現況有姿」で売り出されている物件です。現況有姿とは、基本的に現在の状態のまま引き渡すという考え方です。
古民家の個人間売買では、契約書に「契約不適合責任の免責特約(引き渡し後に雨漏りやシロアリ等の欠陥が見つかっても売主は修補や損害賠償の責任を負わない特約)」が設定されるケースが一般的です。 ただし、売主が知っていて告げなかった欠陥(不適合)については、免責特約を結んでいても民法上、売主は責任を逃れることができません。契約前に「物件状況等報告書」や「付帯設備表」で売主からの申告内容を隅々まで確認し、免責の範囲とリスクを書面で厳密に把握しておく必要があります。
あわせて、修理や代金減額、契約解除などを求められる条件や、不具合を発見した際の通知期限も確認しておきたいところです。契約書に「契約不適合責任を負わない」といった特約がある場合も、意味を十分に理解しないまま署名するのは避け、不明点は不動産会社や法律の専門家へ確認してから契約を進めましょう。
境界・越境・残置物・付属建物の扱い
境界をどの範囲まで確認して引き渡すのか、あらためて測量を行うのかは、契約前に決めておきましょう。このとき、隣地の屋根や樹木、自宅側の塀などの越境がある場合は、現状と解消時期、費用負担を確認書などに残しておきます。
家具や農機具、物置の中身といった残置物も、誰が、いつまでに、どこまで処分するのかを明記しましょう。
また、離れや蔵、倉庫など、敷地内にあるものがどこまで売買対象になるかも確認すべきです。付属建物の登記や解体予定も含め、引き渡し時に何が残るのかを一覧で確認できるようにしましょう。
農地・山林が付く場合の許可と引き渡し条件
売買の対象に農地や山林が含まれる場合、売買には法律に基づく手続きが必要になる可能性があります。
まず農地は、売買や転用にあたって農業委員会の許可などが必要になる場合があります。購入後にそのまま耕作するのか、別の用途に使いたいのかによって必要な手続きも変わるため、物件への申し込み前に自治体の農業委員会へ相談しておくと安心です。
山林が含まれる場合は、境界や進入路、立木の管理状況などを確認します。地域森林計画の対象となる森林を取得した場合には、原則として取得後90日以内に市町村長への届出が必要です。
古民家の購入にかかる費用一覧と目安
古民家の購入にかかる主な費用は以下のとおりです。
| 費用項目 | 金額・税率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 400万円超:売買価格×3%+6万円+消費税 | 800万円以下の低廉な空家等は最大33万円(税込)特例あり |
| 印紙税 | 500万〜1,000万円:5,000円、1,000万〜5,000万円:1万円 | 売買契約書に貼付(2027年3月31日まで軽減税率) |
| 登録免許税(土地) | 固定資産税評価額×1.5% | 売買による所有権移転登記(2026年3月31日まで軽減税率。本則2.0%) |
| 登録免許税(建物) | 固定資産税評価額×2%(自己居住用特例は0.3%) | 特例適用には床面積や新耐震基準適合等の要件あり |
| 不動産取得税 | 土地・建物:課税標準額×3% | 2027年3月31日まで軽減税率(宅地は評価額の1/2が課税標準) |
また、購入後には固定資産税や保険料、改修費、草刈りや庭木の手入れ、浄化槽・井戸の管理、定期的な修繕なども発生します。物件価格だけで予算を使い切らず、改修費と維持費に回せる資金を残しておくことが、古民家購入では大切です。
補助金・移住支援制度を探す方法

古民家を対象とする補助金を探すには、空き家補助金を探すのが近道です。空き家は全国的な社会問題であるため、多くの自治体が市場に流通させるために、購入や改修、耐震化、家財処分などの支援制度を用意しています。
補助制度を探す際には「自治体名+空き家+補助金」「自治体名+移住支援」「自治体名+耐震改修」などのキーワードで検索し、ヒットしたら、空き家担当課や住宅担当課、移住相談窓口へ確認しましょう。
また、県や国が制度を実施している場合もあるため、自治体の窓口で利用できる制度がないか、合わせて聞いておきましょう。
まとめ|建物・土地・契約条件を確認してから購入を決める
古民家選びで迷ったとき、基準にしたいのは「買えるか」ではなく、「目的どおりに使い続けられるか」です。物件価格が手頃でも、再建築が難しい土地や改修・管理の負担が大きい建物では、購入後の選択肢が狭くなります。反対に、弱点を把握したうえで費用と対処方法を織り込める物件なら、古さそのものが購入を諦める理由にはなりません。
気になる古民家が見つかったら、すぐに購入の可否を決めるのではなく、まず「分からないことの一覧」を作ってみましょう。建物は建築士や工務店、土地と契約は不動産会社、制度や許認可は自治体の窓口へ確認し、その答えと改修見積もりを並べます。雰囲気だけでは見えなかった条件がそろえば、その古民家と長く付き合えるかどうかを、自分の暮らしや予算に引き寄せて判断できます。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。






