公開日:2026.11.04
NEW実家を放置して老朽化させないために知るべきリスクと対策

実家の放置による老朽化とは、人が住まなくなった実家の手入れを怠ることで建物の構造や設備が急速に劣化し、近隣トラブルや資産価値の下落、多額の税負担を招く現象のことです。
親の施設入所や相続を機に「まだ大丈夫」と対応を先送りにしていると、老朽化は加速度的に進み、将来取れる対策の選択肢が狭まってしまいます。
そこで本記事では、実家の放置が招くリスクと放置前に確認すべき要点、住む・貸す・売る・解体といった現実的な選択肢をわかりやすく解説します。
実家を放置すると起こる主なリスク

実家を空き家のまま放置すると、建物の劣化だけでなく、金銭負担・法的リスク・近隣トラブルまで連鎖的に拡大します。まずは、放置によって起こる代表的なトラブルから具体的に確認していきましょう。
老朽化が進み修繕費が増える
家は「使わないから傷まない」のではなく、「人が住んでいないからこそ傷む」性質を持っています。窓を閉め切ったままだと湿気がこもってカビだらけになり、木が腐ったり金属部分がサビたりするスピードを早めてしまうのです。
また、通水しない期間が続くと、排水トラップの水が蒸発して下水の悪臭や害虫が室内に侵入。さらに、雨どいの詰まりや瓦のズレを放置すると雨漏りが発生し、柱や壁の腐食へと被害が広がります。
軽微な補修を逃すと大がかりな修繕が必要になり、費用は大幅に増加。特にシロアリは見えない床下で繁殖するため、気づいた時には柱や土台がボロボロになっているケースも珍しくありません。
資産価値が下がり売却しにくくなる
空き家期間が長ければ長いほど、見た目も建物の状態も印象が悪くなってしまいます。外壁の黒ずみや草が生い茂った庭、郵便受けからあふれたチラシを見るだけでも、買い手は「管理されていない家」と受け取り、隠れた欠陥を疑ってしまうものです。
買い手が特に不安に感じるポイントは、雨漏りや配管の故障、シロアリ、臭い、地震への強さといった「買った後に住んでから困る部分」です。不安要素が増えるほど値下げの要求が厳しくなり、結果として大幅な値引きを強いられたり、何年も買い手がつかなかったりする事態に陥ります。
また、老朽化が進みすぎると建物としての価値がほぼゼロと見なされ、「古家付き土地」「現状渡し」として土地値中心での売り方になります。決して悪い選択肢ではありませんが、建物が使える状態で売れる時期に比べて、選べる売却先や条件が限られてしまう点は理解しておかなくてはなりません。
固定資産税など維持費がかかり続ける
実家を所有している以上、誰も住んでいなくても費用が発生します。維持費の代表例は固定資産税や都市計画税です。さらに火災保険料や光熱費の基本料金、庭木の剪定(せんてい)費用、見回りの交通費などが毎年重くのしかかります。
特に厄介なのは、これらが毎年必ず出ていく固定費になってしまう点です。月々の出費は小さく見えても、数年分を合算するとまとまった金額になる上、老朽化が進めば修繕や荷物の片付け費用も別途かかってきます。
空き家となった実家を持ち続けるべきか迷ったときは、「払っている維持費に見合うメリットがあるか」を基準に考えてみましょう。今後住む予定も貸す予定もないのに、税金と管理費だけを払い続けているなら、その実家は資産ではなく負担になってしまっているサインと言えます。
特定空き家の指定で税負担・指導が強まる
空き家等対策特別措置法(空き家法)に基づき、放置された実家は「特定空き家」だけでなく、倒壊や保安上の危険となるおそれがある「管理不全空き家」に指定される可能性があります。
自治体から改善の「勧告」を受けると、敷地に適用されていた「住宅用地に対する課税標準の特例(最大1/6に減額)」の対象から除外され、土地の固定資産税の負担額が一気に実質最大約4〜6倍(※税額上限等の調整措置による)へ増加。税金の負担が重くなると、ますます家の手入れの費用が出せず、放置が加速するという悪循環に陥ってしまいます。
行政対応は、近隣からの通報や現地確認をきっかけに進むことが多く、所有者が気づかないまま話が進んでしまうケースも。実家に届く郵便物や自治体からの連絡には必ず目を通し、指摘を受けたら早めに相談窓口へ足を運ぶようにしましょう。
倒壊・火災・事故で損害賠償リスクがある
老朽化した建物は、台風や地震などの衝撃で被害が出やすくなります。外壁や瓦の落下、塀の倒壊、樹木の越境などが起きれば、通行人や隣家に深刻な被害を与えかねません。
しかも、万が一事故が起きても、「空き家だから知らなかった」という言い訳は通用しません。所有者の管理責任を問われ、被害者への治療費や物損の補償として数千万円規模の損害賠償を請求されるおそれがあります。
また、火災も決して他人事ではありません。人目がない空き家は放火の標的にされやすく、古い配線からの漏電や設備のショートが出火の原因になるケースも。加入している火災保険の内容を確認し、他人に迷惑をかけた際の賠償特約がついているかも見直しておくと安心です。
犯罪利用・不法投棄など近隣トラブルが起きる
人の気配がない空き家は周囲の目が届きにくいため、不法侵入や泥棒の隠れ家に使われたり、粗大ゴミを不法投棄されたりしやすくなります。また、庭の雑草や落ち葉を放置していると、ネズミや害虫が大量発生し、近隣から悪臭や衛生面のクレームにもつながりかねません。
これらのトラブルは、定期的な見回りや簡単な草むしりなど、最低限の管理を続けるだけでも発生率を下げることが可能です。逆に、「誰も手入れに来ていない家」という空気を出してしまうと、余計な問題を引き寄せやすくなるため注意しましょう。
放置前に最初に確認すること

対策を選ぶ前に、権利関係・建物状態・お金の3点を押さえるとその後の判断が圧倒的にスムーズになります。まずは初動で確認すべき項目をチェックしておきましょう。
名義と相続状況を確認する
まずは法務局で登記事項証明書を取得し、現在の所有者名義を確認しましょう。2024年4月1日より「相続登記の義務化」が施行されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わないと、10万円以下の過料(罰則)の対象となります。名義が亡くなった親や祖父母のままでは、売却・賃貸・解体の契約を結ぶこともできません。
兄弟姉妹など複数人での共有名義になっている場合は、特に注意が必要です。売却や解体には共有者全員の同意が必要になる場面が多いため、連絡がつかない親族が1人いるだけでもすべての手続きがストップしてしまいます。
遺産分割が決まっていない場合は、実家の活用方針とセットで遺産分割協議を進めましょう。早期に司法書士などの専門家へ相談し、窓口となる代表者を明確に決めておくことがトラブル防止の鍵です。
建物の老朽化チェックリストで現状を把握する
セルフチェックでは、屋根や外壁のひび割れ、雨漏りのシミ、カビの臭い、床のきしみや沈み、基礎部分のひび割れ、傾き、水漏れ、そしてシロアリの食べた跡がないかを確認しておきましょう。特に危険なサインが集まりやすいのは「水気」と「柱や土台などの構造」なので、天井のシミや基礎まわりは念入りに見るのがポイントです。
確認した箇所は、「今すぐ対応が必要なレベル」「近いうちに修繕すべきレベル」「一旦様子見でいいレベル」の3段階に分けて判断するのがおすすめ。倒壊や漏電など事故につながる恐れがあるなら緊急、放っておくと修理費が跳ね上がりそうなものは要注意、軽微な壁の汚れなどは様子見、といった切り分けです。
判断が難しい場合は、プロのホームインスペクター(住宅診断士)などに点検を依頼する方法も。その際、リフォーム会社に見積もりを取る前に「本当に直すべき危険な場所はどこか」を把握し、勧められるがままに余計な工事まで契約してしまわないように注意しましょう。
年間コスト(税金・保険・光熱・草木・管理)を見積もる
まずは役所から届く納税通知書を見て固定資産税と都市計画税の金額を把握し、次に加入している火災保険・地震保険の補償内容と保険料を確認しましょう。空き家でも災害リスクはなくならないため、保険を削りすぎた状態で放置すると、被災したときの自己負担が極めて重くなってしまいます。
続いて確認するのが、配管の維持に必要な最低限の水道代や電気代、庭の草むしりや枝の伐採費用、様子を見に行くための往復のガソリン代や電車代、管理会社に巡回を頼んでいる場合の委託費など、今実際にかかっている費用です。遠方に実家がある場合、現地へ通うための交通費と移動にかかる時間は、想像以上に大きな負担となってのしかかります。
最後に、将来発生するであろう修繕の積立費用を足し合わせます。そうすることで、空き家を維持するための全体像を把握することが可能に。1年間にかかる総コストを数字としてはっきり可視化すれば、持ち続ける意味があるのか、それとも早めに手放すべきなのかを客観的に判断しやすくなります。
実家を放置しないための選択肢
| 選択肢 | メリット | デメリット・注意点 | 向いている実家の状態・状況 |
|---|---|---|---|
| 修繕して住む | 実家を資産として有効活用でき、家賃負担がなくなる | 耐震補強や水回り交換など高額なリフォーム費がかかる | 立地が良く、自分や親族に住む予定がある場合 |
| 賃貸に出す | 毎月の安定した家賃収入を得ながら所有権を維持できる | 入居者募集や設備修繕の費用、空室リスクを負う | 賃貸需要が高い地域で、初期リフォーム資金を用意できる場合 |
| 不動産仲介で売却 | 市場相場に近い適正価格で売却できる可能性がある | 売却完了まで3〜6ヶ月以上かかり、内覧対応が必要 | 築年数が浅い、または立地が良く買い手が見込める場合 |
| 専門業者へ買取売却 | 最短数日で現金化でき、室内の片付けや修繕が不要 | 売却価格が相場の6〜8割程度に下がりやすい | 老朽化が激しい、残置物が多い、早期に手放したい場合 |
| 解体して更地活用 | 倒壊や事故のリスクをなくし、土地として売りやすい | 解体費が数百万円かかり、住宅用地特例が外れて固定資産税が上がる | 建物が限界まで劣化しており、駐車場需要等がある場合 |
| 無償譲渡・空き家バンク | 費用をかけずに手放せる可能性がある | 買い手・引き取り手が見つかりにくく、瑕疵トラブルのリスクがある | 相場価格がつかない過疎地域で、維持管理から解放されたい場合 |
| 相続土地国庫帰属制度 | 引き取り手のない土地を国に引き渡して管理義務を解消できる | 自費での更地化が必須で、審査手数料と10年分の負担金がかかる | 建物がなく更地で、境界確定や担保権抹消が完了している土地 |
実家の活かし方には、「自分で住む」「賃貸に出す」「売却する」「解体する」「誰かに譲る」「国に引き取ってもらう」など、さまざまな選択肢があります。それぞれの特徴や向き・不向きを把握し、自分の実家に合った現実的な打ち手を選び出しましょう。
修繕して住む・使う
リフォームして自分たちのマイホームにする、セカンドハウスとして使う、あるいは親族の誰かが暮らすなど、使う目的がはっきりしているなら、かけた修繕費用は価値ある投資になります。工事をするときは、雨漏りや木材の腐食、電気配線、お風呂やトイレなどの水回りといった、安全性と家の寿命に直結する部分を最優先で直すのが鉄則です。
これからも長く住み続ける前提であれば、地震への強さや部屋の断熱性も見逃せない検討ポイント。特に1981年(昭和56年)5月以前の古い耐震基準で建てられた家は地震に弱いケースが多く、耐震補強が必要かどうかでリフォーム総額が大きく変わってきます。
キッチンや壁紙など見た目をきれいにする工事は、一番最後で構いません。まずは「倒壊や雨漏りなどの危険を止める工事」と「これ以上劣化を進めない工事」を優先することで、結果的に余計な出費を抑えやすくなります。
補助金・助成金を利用する
自治体によっては、耐震改修や危険空き家の解体、リノベーションに対して補助金が支給されます。自己負担を大幅に削減できますが、補助金を使うには対象要件、工事内容の指定、業者要件など、細かなルールが定められています。
工事が始まってからでは申請を受け付けてもらえない制度も多いため、申請のタイミングを間違えて受け取れなくなってしまう点には注意が必要です。
まずは市役所や町村役場の空き家相談窓口へ出向き、実家の今の状態と希望するリフォーム内容を伝え、利用できそうな制度の候補を出してもらうのが効率的。補助金制度ありきで工事を組むのではなく、本当に必要な工事に使える制度を上手く組み合わせて行うようにしましょう。
リフォームローン・親族支援・火災保険適用を検討する
資金がネックで動けない場合は、資金の調達方法を幅広く考えてみるのもひとつの手。銀行のリフォームローンは審査や毎月の返済が必要になるものの、手元の貯金を大きく減らさずに、急ぎの修繕工事を先に行える点が大きなメリットです。
また、親族から資金を援助してもらう場合は、条件を曖昧にすると後々の関係悪化につながります。援助してもらったお金が贈与なのか貸与なのか、返済の有無や期限をしっかり話し合い、必要であれば借用書を作成しておくとトラブルを避けられます。
さらに、意外と見落としがちなのが、加入中の火災保険の活用です。台風の強風で屋根が壊れたり、大雪の重みで雨どいが歪んだりした破損であれば、自然災害の補償として保険金が下りるケースも。保険対象かどうかは自己判断せず、破損箇所の写真を撮って保険会社や代理店に問い合わせてみることで、自己負担を大幅に抑えられることがあります。
賃貸に出す(普通賃貸・シェアハウス)
賃貸は、立地と建物の状態によって成功するかどうかが大きく分かれます。いくら賃貸需要がある人気のエリアでも、最低限の安全性や設備水準が整っていないと入居者は集まらず、空室のまま毎月の維持費だけが出ていく事態になりかねません。
普通賃貸は運営負荷が比較的低い一方、原状回復や設備更新といった初期費用がかさみがちです。シェアハウスにすれば部屋ごとの家賃収入を増やせる可能性もありますが、入居者同士のトラブル対応や共用部分の清掃など運営の負担が重く、慣れた管理会社を挟まないと手が回りません。
また、募集する前に、火災報知器の設置などの法的なルールを守れているか、修繕すべき場所はないか、近隣に迷惑がかからないかのチェックも忘れずに行いましょう。不動産会社に相談する際も、家賃相場だけでなく、リフォームにかかる初期投資や空室が続くリスクまで計算に入れた上で決断することが重要です。
売却する(仲介・買取)
実家を売却してしまえば、管理や維持費の負担を完全に断つことが可能です。売却方法には大きく分けて、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社そのものに直接買い取ってもらう「買取」の2パターンがあります。
- 仲介:高値で売れるチャンスがある一方、買い手が見つかるまで数ヶ月から半年以上の時間がかかり、購入希望者の内覧対応や設備の補修を求められる負担があります。
- 買取:売却価格が相場の6〜8割程度に下がりやすい反面、最短数週間で現金化でき、ゴミの片付けやリフォームをせず現状のままで引き取ってもらえる手軽さがメリット。老朽化が進んでいる場合や、片付けや修繕に手をかけられない場合は、買取を検討してみるのが現実的。
まずは複数の不動産会社に一括査定を依頼し、いくらで売れそうか相場感を掴んでおくと迷わず判断しやすくなります。実家の売却は思い出があるぶん決断を先延ばしにしがち。だからこそ、「いつまでにいくらで売るか」という数字と期限を決めて動き出しましょう。
解体して土地として活用する
思い切って建物を壊して更地にしてしまえば、家の倒壊や火災、防犯といった建物トラブルのリスクを一気にゼロにでき、土地として買い手が見つかりやすくなることも。建物が傷みすぎてリフォームも難しいようなケースでは、非常に頼もしい選択肢となります。
一方で、数十万から数百万円にのぼる解体費用がかかるうえ、建物がなくなることで土地の固定資産税の優遇措置が外れ、毎年の税金が高くなってしまうデメリットも。次にどう使うかの青写真がないまま勢いで更地にしてしまうと、かえって金銭的な負担が増えてしまう点には注意が必要です。
解体後にコインパーキングや月極駐車場として活用したい場合は、周辺のニーズ調査が欠かせません。近隣の駐車場の稼働状況や利用料金、整地にかかる費用を念入りに調べ、「万が一利用者が少なくても大赤字にならないか」を冷静に見極めてから解体に踏み切ると、失敗しにくくなります。
無償譲渡・空き家バンクを活用する
無償譲渡は、引き取った側が固定資産税や修繕負担を受け入れられるかが最大のハードルになります。タダだからといって引き取り手が見つからないケースも珍しくなく、条件のすり合わせが必要です。
自治体が運営する「空き家バンク」に登録して移住希望者などを探す方法も有効ですが、仕組みやサポート体制は自治体ごとにバラバラです。不動産業者が間に入ってくれない場合は、契約書の作成や境界線の確認を自分たちで行わなければならず、後から「雨漏りしていた」「シロアリがいた」といったトラブルに発展するリスクも。
スムーズに引き渡すためにも、建物の傷んでいる部分を包み隠さず正直に相手へ伝え、契約書面の作成は多少費用を払ってでも専門家に依頼するのが無難。利益を出すことよりも「とにかく手放して管理から解放されたい」という思いが強いなら、制度のメリットとリスクを理解したうえで上手に使い分けましょう。
相続土地国庫帰属制度を検討する
相続土地国庫帰属制度とは、相続などで取得した土地を国に引き取ってもらう制度のこと。管理が難しく売ることもできない「負の遺産」を手放すための手段として注目を集めています。
制度を利用するには建物を自費で解体して更地にする必要があるほか、土地1筆あたり14,000円の審査手数料や、国の管理に必要な10年分の負担金(原則20万円。市街化区域の宅地や森林等の場合は面積等に応じた算定式による加算あり)を納めなくてはなりません。
まずは一般売却や無償譲渡、解体活用を優先し、制度の利用は最終手段として位置付けましょう。要件に合致するかどうかは個別の土地ごとに異なるため、法務局の窓口へ早めに相談することをおすすめします。
売却を早めに検討すべきケース
実家をこのまま「持ち続ける」メリットが見当たらない場合は、早めに売却してしまう方が、結果として損失を防ぐことにつながります。早期売却の目安となる主なケースは以下の通りです。
修繕費が見合わない・遠方で管理できない場合
リフォーム会社に見積もりを取ってみた結果、修繕に何百万円もかかるのに自分たちが住む予定もなく、他人に貸しても回収の見込みがない場合は、工事を見送って早めに売却へ舵を切るのが賢明。放置すればするほど建物の価値は下がり、将来売るときにもっと安く買い叩かれてしまうからです。
実家が遠方にあり、定期的な見回りや草木管理が難しいケースも、放置リスクが大きくなりすぎる前に手放してしまうのがおすすめ。空き家管理サービスに依頼して維持する方法もありますが、払い続ける費用と将来の売却益を天秤にかけ、冷静に損得を比較する必要があります。
売り方としては、まずは「古家付き土地」として仲介で売り出し、数ヶ月経っても買い手がつかなければ不動産会社の「買取」に切り替える、といった二段構えで進めるとよいでしょう。
税制優遇の期限がある場合
被相続人が暮らしていた家を売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(3,000万円特別控除)」を活用できる可能性があります。本特例を適用すれば、売却益から最大3,000万円(※相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除でき、譲渡所得税を大幅に軽減することが可能です。ただし、「相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却」かつ「現行制度の適用期限である2027年(令和9年)12月31日までの譲渡」であること、また「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」であることなど厳格な要件・期限があり、1日でも過ぎると適用外になります。
こうした税金の優遇制度が使えるかどうかは、相続開始時期、建物の状況、売却時期、契約内容などで変わります。「まだ大丈夫だろう」と自己判断で放置していると、取り返しのつかない事態になりかねません。
実家を売る可能性が少しでもあるなら、まずは期限を確認し、税理士や専門窓口に相談しておくのが確実。検討段階であっても、期限管理だけは先手を打っておくことで、自分自身の選択肢を狭めずに済みます。
まとめ
実家を放置してしまうと、「建物の老朽化」「維持費の発生」「法律上の責任」「近隣トラブル」という4つの問題が同時に押し寄せてきます。だからこそ、名義・建物状態・年間コストを押さえて早めに方針決定することが重要です。
決断を先送りにしても、選択肢が減って状況が悪化するばかり。実家にはたくさんの思い出があり、気持ちの整理がつきにくいテーマですが、だからこそ期限を設け、役所や専門家の力も借りながら、放置に戻らない一手を選びましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






