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2022.01.27

不動産価格指数とは?基礎知識から算出方法、具体的な見方、メリットなどを分かりやすく解説

不動産売却をはじめとして不動産取引に興味を持つ方にとって、「取引のベストなタイミング」「適切な価格」などを知るのは重要なポイントです。

もちろんそのためには、不動産動向を踏まえた判断が求められますが、今回は最新の不動産動向を押さえるために便利な「不動産価格指数」を取り上げます。

不動産価格指数の基礎知識、算出方法、具体的な見方、利用するメリットなど、不動産価格指数に関するあらゆる情報を分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産価格指数とは

データのような日本地図

まずは不動産価格指数がどんなものであるかを理解する上で重要となる、以下の基本情報を解説します。

1.不動産価格指数とは何か
2.不動産価格指数の目的・作成されるようになった経緯
3.不動産価格指数が公表される頻度
4.不動産価格指数の内容

これらの基本を押さえておけば、適切な理解に則り不動産価格指数を応用しやすくなりますので、順にチェックしていきましょう。

不動産価格指数とは何か

不動産価格指数とは、2012年8月から国土交通省が公表しているデータで、不動産価格の動向を指数化した統計データがまとめられています。

各種データは、年間約30万件におよぶ実際の取引価格をベースに作成されており、「住宅」「商業用不動産」の2種類に分けて公表されています。

※具体的な内容は後述

不動産価格指数の目的・作成されるようになった経緯

不動産価格指数は、変動する不動産価格の動向をスピーディかつ的確に把握・公表することを目的としています。

この仕組みは日本独自のものではなく、世界的な金融・経済危機を背景に、IMF(国際通貨基金)をはじめとした機関がG20諸国に対して「国際的に共通の指針に基づいて不動産価格の動向を迅速、的確に把握・公表すべきとの勧告」を行ったのが始まりでした。

日本ではこの勧告に対し、国土交通省が中心となって2010年度より「不動産価格の動向指標の整備に関する研究会」の開催や不動産価格指数の開発に着手。2012年8月に試験運用が開始されて以来、毎月この不動産価格指数が公表される運びとなりました。

このように、不動産価格指数は国際的な提言に基づいて生まれた背景があり、作成時には同じく、同勧告の流れで作成された国際指針(Residential Property Price Indices Handbook)に則った上で、実際の取引価格情報をもとに作成されています。

不動産価格指数が公表される頻度

不動産価格指数は、不動産価格動向のスピーディかつ的確な把握・公表を目的としていることから、国土交通省では基本的に1カ月ごとの不動産価格指数を公表(まれに2か月分をまとめて公表するケースもあり)しています。

公表のタイミングは月によって変動があるものの、毎月25日~末日のタイミングで公表されるケースが大半です。

ただし、公表される不動産価格指数のデータはリアルタイムのものではなく、公表日と対象期間に3カ月程度のタイムラグがある(例:2021年10月30日に公表されたデータは、2021年7月が対象期間)ため、注意が必要です。

不動産価格指数の内容

まず、不動産価格指数では対象となる不動産を「住宅」「商業用不動産」の2種類に分別した上で、さらに細かく以下の種類に分けて指数および直近の動向を記しています。

【住宅】

・住宅地(更地)
・戸建住宅(建物付きの土地)
・マンション

【商業用不動産】

・オフィス
・倉庫
・工場
・マンション・アパート(一棟)
・商業地
・工業地

各不動産価格の指数は、基準となる2010年の平均を100とした数値で表記されており、さらに前月比(%)の数値も記載されているため、前月と比べての価格推移もひと目で把握できる内容となっています。

また、分類は不動産の種類だけでなく、エリア別に細かく不動産価格指数および動向を把握できるように以下のエリアに分けてデータが示されています。

・全国

・ブロック別(北海道地方、関東地方、近畿地方など全9ブロックに分類)
・都市圏別(南関東圏、名古屋圏、京阪神圏の3都市圏に分類)
・都道府県別(東京都、愛知県、大阪府の3つのみ)

不動産価格指数と公示地価の違い

不動産価格指数と並び、不動産動向を知るためのデータとして「公示地価」と呼ばれるものがあります。

この公示地価は、「地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が3月に公示する、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格」で、土地の適正価格を判断する客観的な目安として用いられます。

では、気になる不動産価格指数と公示地価の違いについてですが、大きな違いは以下の2点です。

・公示地価は「具体的な土地の価格」を示すが、不動産価格指数では価格ではなく「基準値と比較した際の指数」を示す
・公示地価は「1月1日時点のデータのみ」だが、不動産価格指数は基本的に「毎月のデータ」を公表する

公示地価が地点単位での土地の正常価格を把握できるのに対し、不動産価格指数は土地に限らず広域的な不動産取引の動向を月単位で把握できるという特徴を持っています。

公示地価はあくまで1年に1回公示されるものであり、月ごとの変動が示されていないことを考えると、時系列に沿った細かな不動産取引の流れを把握したい際に不動産価格指数は便利なデータといえます。

不動産価格指数の算出方法

家とルーペと電卓

不動産価格指数は、国土交通省が手がける「不動産の取引価格情報提供制度」によって蓄積された取引事例データ(取引価格情報)をもとに算出されています。

※商業用不動産については、上記に不動産信託受益権取引に係る情報を加えて算出

ここでは、ベースとなる「不動産の取引価格情報提供制度」の概要、不動産価格指数に用いる取引事例データ作成の流れを解説します。

不動産の取引価格情報提供制度とは

不動産の取引価格情報提供制度は、不動産市場の信頼性・透明性を高めるとともに、不動産取引の円滑化・活性化を目的として2008年からスタートした制度です。

この制度では、アンケート調査に基づいて得た「各取引の取引価格、取引時期、所在地、床面積、建築年、最寄り駅」などの情報が集約されており、実際の取引データを反映した「生」の情報であるという特徴を持っています。

【不動産の取引価格情報提供制度の概要】

・情報提供地域:全国
・情報提供内容:土地、土地と建物、中古マンションなどの実際の売買価格など
・実施機関:国土交通省(四半期ごとに公表)
・情報提供方法:国土交通省ホームページ
・累計取引事例データ件数:345万件(2022年1月時点)

不動産価格指数で用いる取引事例データ作成の流れ

不動産価格指数で用いられる取引事例データは、以下3段階のステップで作成されています。

1.登記異動情報
2.アンケート調査票(毎年約30万件)
3.現地調査

不動産価格指数では、上記3つのステップの中で主に「1(登記異動情報)・2(アンケート調査票)」をもとにして推計が行われますが、過去のデータや一部項目ではさらに現地調査による情報を加えて推計が行われます。

不動産価格指数の見方

データを見つめる人

ここでは、実際に公表されたデータを例に挙げて、不動産価格指数の見方を紹介します。

不動産価格指数の内容については、前述のとおり「不動産の種類別・エリア別」にそれぞれの指数および前月比が記されていますが、具体的には以下のような形で表記されています。

【不動産価格指数(住宅)(2021年9月分)】

不動産価格指数(住宅)(2021年9月分)

不動産の種別(住宅地、戸建住宅など)それぞれの左側に表記されているのが、2021年9月の不動産価格指数です。ほとんどの指数が100を超えていますが、「2010年の平均値が100」として指標を出しているため、この月の不動産価格指数は2010年平均と比べて上昇していることを意味します。

また、直近の動向を知る上で役立つのが「対前月比」に示されている数値です。

この数値は、前月の指数と比較した際の増減を表しており、「▲」が表示されているところはマイナス、表示されていない数値についてはプラスを意味しています。

例えば、「住宅総合」の分類で見てみると、近畿地方全体では対前月比0.3%とダウンしているにもかかわらず、大阪府単体では対前月比0.5%と上昇しているように、対前月比から直近の動向を知ることが可能です。

このように、不動産の種別・エリア別の不動産価格指数を見るだけでなく、前月との対比まで参考にすることにより、不動産取引の流れをより詳細に把握できます。

不動産価格指数を利用するメリット

空に浮かぶ棒グラフ

不動産価格指数の大きな特徴は、「不動産の種類別・エリア別に指数を公表している」「毎月のデータを公表している」点です。

また、公表されるデータは、実際の取引情報をもとにして国土交通省がまとめるため信頼性が高く、不動産の種類別・エリア別に不動産取引市場の最新動向を知る上では非常に有益なデータだといえるでしょう。

これらを踏まえて、不動産価格指数を利用する主なメリットは以下の2点です。

・不動産価格指数の動向を踏まえて、適切な不動産取引の判断に活かせる
・不動産取引による金融危機回避に役立つ

前述のとおり、不動産価格指数では不動産の種類別・エリア別の不動産取引の流れを時系列に沿って把握できます。

そのため、「所有する不動産があるエリアの指数が上昇傾向にある場合は、売却価格を多少強気に設定する」「購入したいマンションがあるエリアの指数が下降傾向にある場合は、価格の下落を狙って購入のタイミングを遅らせる」といった形で、最近の不動産取引の動向に合わせた適切な不動産取引の判断に活かすことが可能となります。

また、不動産価格の指数をこまめに把握・公表することは、国としても不動産による金融危機を回避するための対策を立てる上でも大きな意味を持っています。

元々、不動産価格指数は世界的な金融・経済危機を危惧して提唱されたものですから、不動産取引に関わる個人・民間だけでなく、国にとっても重要な役割を担っているのです。

不動産価格指数に関するまとめ

不動産価格指数は、アンケート調査などによって寄せられた実際の不動産取引における取引価格、取引時期、所在地、床面積、建築年といった生の情報をもとに算出されています。

また、1年に1回公表される公示地価地価公示と違い、不動産価格指数は毎月のデータが公表されるため、不動産取引の最新動向を押さえるための重要な参考材料となります。

不動産の価格は常に変動するものですので、今回解説した不動産価格指数や公示地価地価公示など、複数の情報を参考にしながら、不動産取引の適切な判断に役立てましょう。