公開日:2026.09.23 更新日:2026.08.31
NEW畑付き空き家に関する法律「農地法」とは?農家でなくても買える条件と手続き

畑付き空き家に関する法律は、通常の住宅だけを購入する場合とは少し異なります。畑として使われている土地は農地法の対象になることがあり「家庭菜園をしたい」「田舎暮らしを始めたい」と思っても、住宅の敷地と同じ感覚でそのまま購入できるとは限りません。
そこでこの記事では、畑付き空き家を購入するときに知っておきたい法律である、農地法3条・4条・5条の違いや、購入前に確認したいことなどを解説します。
目次
畑付き空き家は農家でなくても購入できる?

結論から言うと、農家ではない非農家の方でも、農地法の許可要件を満たせば畑付き空き家を購入できます。
購入するためには以下のいずれかの手続きが必要です。
- 農地としてそのまま使う(農地法3条許可)
- 駐車場や宅地などに変えて使う(農地法5条許可)
ただし、畑の部分が農地に該当する場合は、通常の宅地と同じように売買契約だけで取得できるわけではありません。購入後も農地として使うのか、駐車場や宅地などへ転用するのかによって、必要な手続きも変わります。
まずは、どのような土地に農地法が適用されるのかを確認しておきましょう。
登記上の地目が田・畑なら農地法の対象になる可能性がある
農地法は、田や畑などの農地について、売買や貸し借り、農地以外への転用などを規制する法律です。そのため、畑付き空き家を購入するときは、住宅部分だけでなく、畑部分が農地法の対象になる土地かどうかを確認する必要があります。
「農地」に該当するかは、登記上の地目と実際の利用状況(現況)から判断されます。登記が「田・畑」の場合はもちろん、登記が「宅地」でも実際に畑として使われていれば農地法の対象になる場合があります。
一つの物件として売り出されていても、宅地部分と農地部分では必要な手続きが異なります。購入前に、それぞれの地番・地目・面積を確認しておきましょう。
現況が家庭菜園でも農地に該当する場合がある
一方、農地に当たるかどうかは、登記上の地目だけでなく、実際にどのように使われているかも関係します。小さな区画で野菜や果樹を育てているだけでも、耕作を目的に使われている土地であれば農地に該当する場合があります。
反対に、長期間使われず荒れている土地でも、所有者の判断だけで宅地として扱えるとは限りません。登記上の地目と現況が異なる場合や判断が難しい場合は、売買契約の前に農業委員会へ確認しておきましょう。
農地法第3条・第4条・第5条の違い

農地法は「権利の移転を伴うか」「用途を変更(転用)するか」の組み合わせによって適用条文が分かれます。畑付き空き家を取得する際に関係する主な条文は次の3つです。
| 条文 | 目的 | 内容 | 畑付き空き家購入でのケース |
|---|---|---|---|
| 第3条 | 権利移動 | 農地のまま売買・貸し借りをする | 買った畑で家庭菜園を続ける場合 |
| 第4条 | 転用(自己所有) | 自分の農地を別の用途(宅地や駐車場)に変える | 購入時には使わない(既に所有している人向け) |
| 第5条 | 転用目的の権利移動 | 農地を買って、同時に別の用途(宅地や駐車場)に変える | 買った畑を潰して駐車場にする場合 |
畑をそのまま使うのか、駐車場や宅地などへ変えるのかによって該当する条文が変わるため、それぞれの違いを確認しておきましょう。
3条|農地のまま売買・贈与・賃貸するとき
空き家と一緒に畑を購入し、取得後も野菜や果樹を育てるなど農地として使い続ける場合は、原則として農地法3条の許可が必要です。売買だけでなく、贈与や賃貸借などによって農地の権利を移す場合も対象になります。
許可を受ける際には、取得した農地を継続して適切に利用できるかなどが審査されます。育てる作物や作業する日数、農機具の準備、農地までの距離などを踏まえ、無理なく耕作を続けられる計画を考えておきましょう。
4条|所有者が自分の農地を別の用途へ転用するとき
すでに所有している農地を、駐車場や宅地、資材置場など農地以外の用途へ変える場合は、農地法4条の手続きが関係します。
4条の特徴は、農地の所有者を変えずに用途だけを変更することです。そのため、畑付き空き家をこれから購入し、取得と同時に畑を駐車場などへ変える場合は、権利の移転も伴うため、通常は次の5条を検討します。
5条|売買・賃貸とあわせて農地を転用するとき
農地の売買や賃貸と同時に、買主・借主がその土地を駐車場や宅地などへ転用する場合は、農地法5条の手続きが必要です。たとえば、畑付き空き家を購入して、畑の一部を駐車スペースとして使いたい場合などが該当します。
ただし、農地であれば希望どおりに転用できるとは限りません。農地の区分や農用地区域の指定、都市計画上の区域などによって可否が変わるため、「購入したあとで転用すればよい」と考えず、売買契約の前に農業委員会や自治体の担当窓口へ確認しておきましょう。
非農家が農地法3条の許可を受けるための条件

2023年4月の農地法改正により「下限面積要件(原則50a以上)」が撤廃され、農家でなくても小さな畑や市民農園レベルの農地を取得しやすくなりました。ただし、権利取得には「農地のすべてを効率的に利用すること」や「周辺の農地利用に支障を生じさせないこと」などの要件を満たし、農業委員会の許可を得る必要があります。
ただし、誰でも無条件に購入できるわけではありません。取得後も農地として適切に利用できるかなど、主に次のような点が確認されます。
取得した農地を適切に利用できること
取得する農地だけでなく、すでに所有・賃借している農地がある場合は、それらも含めて適切に利用できるかが確認されます。農機具の有無や作業する人数、農地までの距離、育てる作物などから、無理なく耕作を続けられるかが判断されます。
たとえば、遠方にある広い畑を取得するにもかかわらず、通える日がほとんどないような計画では、継続的な利用が難しいと判断される可能性があります。購入前に、草刈りなども含めて年間どの程度の作業が必要になるかを考えておきましょう。
必要な農作業へ継続して従事できること
農地を取得する本人または世帯員などが、農作業に常時従事できること(原則として年間150日以上従事すること)が求められます(常時従事要件)。また、法人の参入等においては、業務執行役員等の1人以上が常時従事し、地域の農業者と適切な役割分担を行うことなどが審査されます。
週末を中心に畑を利用するのであれば、平日の水やりや害虫対策をどうするのか、収穫期など作業が増える時期に対応できるのかまで考えておく必要があります。育てる作物や作業日数、家族などから受けられる協力を整理し、実際に続けられる計画にしておきましょう。
周辺の農地利用に支障を与えないこと
自分の農地を管理できればよいだけでなく、周辺の農業に支障を与えないことも要件の一つです。農業用水や農薬の使い方などが周囲に影響するほか、地域によっては水路清掃やあぜの草刈りといった共同作業が行われています。
畑付き空き家を購入する際は、こうした地域のルールや共同作業の有無も確認しておきましょう。農業委員会によって確認内容や必要書類が異なる場合もあるため、具体的な購入を検討し始めた段階で事前に相談しておくとスムーズです。
畑付き空き家を買う前に確認したい4つのこと

畑付き空き家を購入するときは、建物の状態だけでなく、農地の範囲や区域指定、接道、水利、購入後の管理負担まで確認しておく必要があります。契約したあとで「畑として使えない」「駐車場にできない」と分からないよう、次の4つを事前に確認しておきましょう。
登記地目・現況・農地の範囲
まず確認したいのが、売買対象にどの土地が含まれ、どこからどこまでが農地なのかという点です。登記簿で地目が「田」「畑」になっている土地を確認し、公図や地積測量図などで位置や面積も見ておきましょう。
また、登記上は農地でも、現地では庭や駐車場のように使われている場合があります。ただし、見た目が農地ではないからといって、転用手続きまで済んでいるとは限りません。登記と現況が異なる場合は、売主や不動産会社、農業委員会へ確認しておきましょう。
農用地区域・市街化区域と転用の可否
畑を購入後も農地として使うのか、駐車場や宅地などへ変えるのかによって、確認すべき区域指定も変わります。
特に農用地区域内の農地は、原則として農業以外の用途へ転用できません。市街化区域では農地転用が原則として届出で進められる一方、それ以外の区域では許可が必要になる場合があります。希望する使い方ができるか、購入前に農業委員会や自治体の担当窓口へ確認しておきましょう。
接道・境界・水利・管理負担
畑まで入るための道があるか、土地の境界は明確か、農業用水をどのように利用するのかといった点も確認が必要です。農機具や資材を運ぶ場合は、車両が通れる道幅があるか、他人の土地を通る必要がないかも見ておきましょう。
また、地域によっては農業用水の使用料や、水路清掃、草刈りなどの共同作業が必要になることもあります。購入後に無理なく管理を続けられるよう、年間でどの程度の作業や費用がかかるのかも確認しておくと安心です。
取得後の営農計画と地域ルール
農地法3条の許可を受けて畑を取得する場合は、購入後も継続して耕作できる計画を立てておく必要があります。何を育てるのかだけでなく、水やりや草刈り、害虫対策なども含め、年間を通してどの程度の作業が必要になるか考えておきましょう。
あわせて、水路の掃除や草刈りといった地域の共同作業のルールも確認しましょう。遠方から通う場合は、訪問できない日の管理方法を考えておくと、購入後の負担をイメージしやすくなります。
農地付き空き家を購入する手順

農地付き空き家は、通常の住宅売買とは異なり、農地部分について農地法の手続きを進める必要があります。基本的な流れは次のとおりです。
対象の畑が農地法に該当するか、転用(駐車場等への変更)は可能か、事前に見込みを確認する。
「許可が下りなかった場合は白紙解約できる」という特約(停止条件)を付けて契約する。
農業委員会へ農地法3条(または5条)の許可申請を行う。審査には通常1ヶ月〜数ヶ月かかる。
許可が下りて初めて契約が成立。代金の支払いと所有権移転登記(名義変更)を行う。
特に重要なのは、先に契約を確定させず、農業委員会への事前相談から始めることです。許可の見込みや必要な期間を確認したうえで契約へ進むと、購入後に農地部分だけ取得できないといったトラブルを防ぎやすくなります。
購入した農地を宅地・駐車場などへ転用するには
畑付き空き家を購入し、農地部分を駐車場や宅地などへ転用したい場合は、農地転用の手続きに加えて、農用地区域や都市計画、接道、造成、建築条件などを確認しましょう。希望する使い方ができるか、購入前に自治体や農業委員会へ確認しておくことが大切です。
農用地区域からの除外が必要か確認する
農用地区域内の農地は、原則として農業以外の用途へ転用できません。転用するには、まず農用地区域から除外するための手続きが必要となり、その後に農地転用の手続きを進めます。
ただし、除外は申請すれば必ず認められるものではありません。対象地が農用地区域に含まれている場合は、市町村の担当窓口へ除外の見込みや必要な期間を確認し、除外できることを前提に購入しないようにしましょう。
市街化区域かどうかで必要な手続きが変わる
農地転用の手続きは、土地がどの区域にあるかによって異なります。市街化区域内の農地では原則として農業委員会への届出で足りますが、それ以外では農地の区分や転用目的に応じて許可が必要です。
同じ市町村内でも土地によって扱いが変わるため、対象地がどの区域にあり、届出と許可のどちらが必要なのかを事前に確認しておきましょう。
転用後の造成・接道・建築条件も確認する
農地転用が認められても、その土地を希望どおりに使えるとは限りません。駐車場として使うなら造成や排水の工事が必要になることがあり、住宅を建てるなら接道や都市計画上の建築条件なども関係します。
そのため、農地転用の可否だけで判断せず、自治体の都市計画・建築担当部署や施工会社にも相談し、実際に使える状態にするまでの工事内容や費用まで確認したうえで購入を判断するとよいでしょう。
農地付き空き家の売買契約で注意すること
農地付き空き家の売買では、農地法の許可が下りない場合も想定して契約条件を決めておきましょう。特に確認したいのは、次の3点です。
| 確認項目 | 契約書への記載ポイント・注意点 |
|---|---|
| 停止条件付き契約 | 「農地法の許可が下りた場合にのみ契約が成立する」旨を必ず明記する |
| 手付金・違約金の扱い | 不許可になって契約白紙となった場合、手付金が無利息で返還されることを記載する |
| 引き渡し時期の調整 | 農業委員会の許可には数ヶ月かかるため、住宅部分と農地部分の引き渡し日・代金決済日を分けるか揃えるか決める |
あわせて、宅地と農地それぞれの地番・地目・面積・代金の内訳も契約書で確認しておきましょう。内容が分かりにくい場合は、署名前に宅地建物取引士などへ確認すると安心です。
まとめ|畑付き空き家を探すなら「アキサポ」に相談を
畑付き空き家は、農家ではない方でも条件を満たせば購入できます。ただし、畑が農地に該当する場合は農地法の手続きが必要になるため、購入前に地目や現況を確認し、畑として使うのか、宅地や駐車場へ転用したいのかを整理しておきましょう。
また、畑付き空き家は建物だけでなく、農地の広さや管理負担、購入後の使い方まで考えて物件を選ぶ必要があります。そのため、希望に合う物件を自分だけで探すのが難しいこともあるでしょう。
そんなときは「アキサポ」に相談してみてください。アキサポでは、空き家の専門家に物件探しや活用方法を相談できるほか、空き家を使いたい人とのマッチングにも対応しています。「畑のある空き家でどのように暮らしたいか」まで伝えながら物件を探せるので、これから畑付き空き家を探したい方もお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






