公開日:2020.11.25 更新日:2021.10.14
空き家の整理をするならこれだけは知っておきたい!費用相場や片付けのコツまとめ

放置された空き家は、「空き家対策特別措置法」に基づく行政指導の対象や犯罪リスクの上昇など、あらゆるトラブルの種となる存在です。
また、空き家を売却・活用する際にも、あらかじめ整理したうえでリノベーションや設備の修繕を行うケースがほとんどですから、「とりあえず空き家をきれいにしたい…」とお悩みの方も多いでしょう。
そこで今回は、多種多様な空き家活用に携わってきた「アキサポ」が、「空き家整理の方法、注意点、業者選びのコツや費用相場、遺品整理・生前整理」などについて徹底解説します!
目次
空き家の整理はなぜ必要?

空き家の整理は単に見栄えを良くするだけでなく、さまざまなリスクを軽減するうえでも欠かせないプロセスです。
ではそもそも、空き家が抱えるリスクとはどういったものなのか?
代表的なリスクや注意点について、個別に解説しましょう。
特定空家に指定されるリスク
日本では年々空き家率が増加しており、総務省統計局の住宅・土地統計調査によると、平成30年の空き家率は過去最高の13.6%を記録。
放置された空き家は環境・保安・犯罪など、さまざまなトラブルの原因となることから、政府は平成26年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を交付しました。
この法律は簡単に言えば、「適切な管理が行われていない空き家が地域住民の生活環境に深刻な影響(倒壊や災害など)を及ぼすことを防ぐために、適切な空き家保全の取り決めや措置を記したもの」です。
特定空家とは、適切な管理が行われていない空き家の中でも、「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るための指針に基づき、以下の条件に当てはまる空き家を指しています。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
したがって、適切な管理がなされておらず、衛生上・保安上の問題が発生している空き家は「特定空家」に指定される可能性が高くなります。
もちろんただ指定されるだけでなく、特定空家に指定されると「空家等対策の推進に関する特別措置法」の適用対象となり、「建物の解体や修繕」「立木竹の伐採」といった助言・指導が実施されます。
さらに改善が見られない場合、勧告・命令、そして最終的には強制執行が行われるだけでなく、特定空家が保全のために必要な措置をとることを勧告した場合、地方税法に則り、該当の敷地は固定資産税などの住宅用地特例の対象から除外される点も大きなデメリットです。
住宅用地特例の対象から除外されると、固定資産税はおおよそ更地状態と同等の最大6倍にまで跳ね上がる場合があるため、金銭的ダメージも大きくなってしまうでしょう。
犯罪リスク
放置された空き家は多種多様な犯罪の温床となるケースが多く、空き家が抱えるリスクの中でも犯罪リスクは経済的・社会的なダメージが大きいため注意が必要です。
【空き家で起こる犯罪の一例】
・放火
・不法占拠(人が住み着いてしまうなど)
・盗難
・違法薬物製造や薬物栽培
・不法投棄
・敷地内の物品の無断使用
これらはあくまで一例ですが、犯罪が起こった空き家はやはり世間的な評判を落としてしまうケースも珍しくありません。
それこそ「空き家なのに人の気配がする…」といったウワサが広まり、いわくつき物件になってしまう可能性まで大いに考えられるのです。
空き家の犯罪リスクが気になる!実例をもとにトラブルの原因・回避方法を解説
更地にするデメリット

空き家の整理をお悩みの方の中には、「いっそのこと建物を解体して更地にしたほうが手間がかからないかも?」と考える方もいるかもしれません。
確かに更地にしてしまえば、建物の倒壊や犯罪リスクの軽減には役立つでしょう。
しかし更地にした場合には、メリットだけでなく以下のような大きなデメリットが存在することをご存じでしょうか?
・固定資産税が最大6倍に上がる
・都市計画税が最大3倍に上がる
本来これらの税については「建物が建っている限り、税額が軽減される」という住宅用地の特例措置が適用される仕組みとなっているのですが、更地にすると特例措置から除外されてしまうのです。
空き家を解体する場合、解体自体にまとまった費用が必要になるだけでなく、税金まで高くなってしまうわけですから、いくら「空き家の整理に悩んでいる」からといって誰にでもおすすめできる方法ではありません。
空き家の整理を自分でする方法

ここでは、空き家の整理を自分たちでする方法や注意点をまとめていきます。
計画的に動くことが大切
一言で空き家の整理といっても、空き家には片づけるべき場所が複数ありますし、空き家全体の整理を自分たちだけで行うとなれば、それなりの作業量が求められます。
したがって、効率よく空き家を整理するためには、整理計画を立てたうえで計画的に片付けを進めることが大切なポイントとなります。
【整理計画を立てる際のポイント】
・一人で進めるのではなく、親族などの協力を得ながら複数人で作業する
・皆が集まれる日を決める
・整理する場所や役割を一人ひとり分担する
空き家の整理を一人だけで進めるのはやはり難易度が高いため、皆が集まれるように日程を調整した上で役割分担しながら作業するのがやはり効率的です。
書類の整理担当、不用品の仕分け担当、掃除担当など、役割を分担して動けば、それぞれが特定の作業に集中できるため、整理そのものもスムーズに進行しやすくなるでしょう。
自分たちだけで無理しすぎない
空き家の整理を自分たちだけで進めた場合、計画通りに進まないことや自分たちだけでは難しい問題に直面する可能性は大いに考えられます。
大きな家具の搬出や貴金属の鑑定など、専門知識・スキルの少ない素人だけではどうしても対応が難しい問題に遭遇した場合は、「自分たちだけでやる!」と無理するのではなく、必要に応じて業者に相談することをおすすめします。
それこそ、「無理やり大きな家具を運び出そうとしてケガをした」「価値のある貴金属を処分してしまった」などということになれば、最終的に自分たちが損することになりますから、状況に応じて一部の作業は業者に依頼するなど、臨機応変な対応も空き家の整理を自分たちで進める場合には大切なポイントです。
空き家の整理を業者に依頼した際の具体的なサービス内容は?

簡単な掃除程度ではなく、大掛かりな空き家の整理を行う場合、自分たちだけの手では限界を感じる部分も出てくるものです。
そこで空き家の整理を専門に引き受けてくれる会社について、ここからは提供サービスや作業内容を分かりやすくまとめることにします。
空き家整理に対応した業者の種類

一言で「空き家の整理」といっても、手を付ける箇所や作業の種類は幅広く、対応している業者も異なります。
【空き家の整理で用いられる業者】
・解体業者
・不用品回収業者
・遺品整理業者
一般的に、空き家整理を依頼するなら上記いずれかの会社を選ぶケースがほとんどでしょう。
もちろん、それぞれの業者で「できること・できないこと」「得意分野」などは異なるため、特徴を把握したうえで依頼するのがポイントです。
では引き続き、業者ごとのサービス内容や特徴を比較してみていきましょう。
空き家整理業者のサービス・特徴を一括比較
以下、3つの業者それぞれのサービス内容や特徴を一覧表にまとめました。
解体 | 不要品の処分 | 物品買取 | 家具や家電の移動 | 細かな仕分け | 遺品整理 | |
---|---|---|---|---|---|---|
解体業者 | ◎ | △ | × | × | × | × |
不用品回収業者 | × | ◎ | △ | × | × | × |
遺品整理業者 | × | ○ | ○ | △ | ◎ | ◎ |
ご覧の通り、サービスの提供範囲が幅広いのは「遺品整理業者」です。
遺品整理というデリケートな作業がメインとなる関係上、細かな分別を得意としていますが、一方でその他2つの業者と比較して費用は高額になる傾向にあります。
逆に不用品回収業者は不用品の処分費用自体は抑えやすいものの、提供サービスはほぼ「不用品の回収・処分」に絞られるケースが多く、解体業者は文字通り建物の解体のみを行う場合がほとんどです。
では引き続き、空き家整理にかかる費用について詳しく解説しましょう。
空き家整理業者の費用比較

空き家整理業者に依頼した場合、主に以下のような面で費用が発生します。
・人件費
・出張料
・処分料
・リサイクル料(冷蔵庫・洗濯機など)
・備品実費(作業に必要な用具や備品)
もちろん、何をどこまで依頼するか?により費用は異なりますので、分かりやすいよう「間取り別の空き家整理費用相場(※基本料金の相場)」を一覧表にまとめました。
間取り | 費用相場 |
---|---|
1R・1K | 4~10万円 |
1LDK | 7~15万円 |
2DK・2LDK | 11~20万円 |
3DK・3LDK | 15~25万円 |
4DK・4LDK | 20~40万円 |
ただし、空き家整理の料金は「基本料金+オプション」となっているケースが多く、状況に応じて上記の基本料金にプラスアルファでさまざまな費用が追加されるケースが多々あります。
【主なオプション】
・特殊清掃費用
・リサイクル料金
・エアコンの取り外し
・畳の撤去
・ハウスクリーニングや害虫駆除
適正費用を洗い出すには、いくつかの業者に見積もり依頼を行ったうえで、価格比較を行うと良いでしょう。
空き家整理業者を選ぶコツ
ここまで、空き家整理業者のサービス内容や費用について詳しくご紹介してきましたが、大切なのは「相性の良い業者を選ぶこと」です。
【相性の良い業者選びのポイント】
1.希望する依頼内容に対応できる業者であるか?
2.料金は適正な価格であるか?
3.サービスの質に問題はないか?
4.実績やノウハウは豊富か?
5.空き家の有効活用につなげやすい業者であるか?
特に空き家の整理においては、整理した後に売却や賃貸といった活用につなげるパターンが多いため「ポイント5:空き家の有効活用につなげやすい業者であるか?」を重視しましょう。
ご紹介した「解体業者」「不用品回収業者」「遺品整理業者」だけでなく、空き家活用会社の中には、空き家の整理~リノベーション~賃借人・利用者の募集まで幅広く対応しているところもありますので、整理した空き家をスムーズに活用までつなげたい場合は空き家活用会社がおすすめです。
「空き家活用」に必要なこと、面倒なことは、すべてアキサポにお任せ!
手間や費用を抑えて空き家を整理するコツ

空き家の整理には時間も手間もお金もかかるものですが、なるべく効率よく費用を抑えながら空き家を整理できるのであれば、もちろんそれがベストです。
そこでここからは、手間や費用を抑えて空き家を整理する具体的なコツを解説していきます。
できることは自分でする
最近では、「空き家整理業者」の登場により、空き家の整理にかかわる作業をまとめて業者に依頼できるようになりました。
ですが業者の対応内容が多くなればなるほど比例して費用がかかるのも事実です。
したがって、業者の利用を視野に入れて空き家を片付ける場合でも「自分たちでできること」と「業者に依頼したほうが良いこと」を整理しておくのが、費用を抑えるポイントとなるでしょう。
・小物や書類などはまとめておく
・無料で捨てられるものはゴミの日などを利用して捨てる
・いらないものをすべて捨てるではなく、知人に譲る・売却するといった方法も取ることで処分費を抑える
これらのポイントを踏まえ、ある程度自分たちだけで整理した上で業者を利用すれば、スムーズかつ低コストな空き家の整理を実現する助けとなるはずです。
処分費を抑えたいなら行政サービスを利用する
市区町村などが提供する行政サービスは、不用品回収業者などの処分費と比べて格安な場合がほとんどです。
不用品回収業者の中には「不用品の種類」ではなく、室内の間取り(㎡)単位・トラック1台分単位などの形で処分費用を決定するところもありますので、特にタンスやベッドといった大きな家財道具については行政サービスを利用したほうが圧倒的にコストを抑えやすいでしょう。
費用だけで見るなら不用品回収業者が割安
空き家の整理で用いられる業者としては、「遺品整理業者」「空き家整理業者」「不用品回収業者」などが代表的ですが、費用だけで見るなら不用品回収業者が割安となるケースがほとんどです。
遺品整理業者や空き家整理業者は、物品の仕分けや整理自体のサポートなどサービス領域が広く、仕事も丁寧ではありますが、その分費用がかさみがちとなるからです。
一方、不用品回収業者は「不用品の回収および処分」に特化してサービス提供を行う場合がほとんどであるため、とにかく費用を抑えたいなら、整理自体は自分たちで行い、不用品の処分を不用品回収業者に依頼すると良いでしょう。
複数社で見積もりを取る
空き家の整理で用いられる業者の提供サービスは業者によってそれぞれですが、費用についても明確な基準があるわけではありません。
そのため、まったく同じサービス内容であっても業者によって料金に差が出ることは多々あり、利用者が「適正な請求金額」を判断するのも難しいのが現実です。
そこで「提供サービスに見合った費用の業者」を見出すためにおすすめなのが、複数社から見積もりを取る方法です。
複数の業者から「提供サービスの内容」「費用」などがまとめられた見積もりを取っておけば、平均的な料金相場が把握できるだけでなく、最もお得な業者選びにも役立つでしょう。
空き家の片付けと遺品・生前整理

空き家の整理や管理で悩む方の中には、「空き家=親が住んでいた実家」というパターンも多いでしょう。
親が住んでいた実家を子供が相続するのは一般的ですが、もちろん実家にそのまま子供が住むケースばかりではありません。
むしろ子供自身の生活圏が実家から遠く離れていたり、すでにマイホームを所持していたりするケースが多く、そうなると自然に実家は空き家になりがちです。
ただし、住まずとも実家を相続した以上、ひたすら放置するわけにもいかないのが難しいところ。
ひとまず不用品や遺品整理を行い、実家をきれいに片づけたいと考える方も多いでしょう。
遺品整理のポイント
親が亡くなった後の実家の片づけ・整理は、遺品整理も兼ねて行うケースが多くなります。
この際、遺品整理を業者に依頼するのであれば、「どこに依頼するか?」で費用や遺品整理にかかる負担の度合いに差が出ることを覚えておきましょう。
優良な遺品整理業者を選ぶ際は、以下のポイントを心がけることが大切です。
①不用品回収や遺品買取の可否
②必要品と不用品の分別の可否
③ハウスクリーニングや脱臭作業の可否
④相続の相談に対応しているか
⑤空き家となった物件の活用に対応しているか
⑥料金・契約書の内容は適正であるか
上記のポイントと並んで、特に気を付けたいのが「悪徳業者」の存在です。
遺品整理・不用品回収業者の中には、回収した用品を不法投棄したり遺品を盗難したりする業者も中には存在するため、「安すぎる業者」も考えもの。
真摯な対応を行っている業者は優良である可能性が高いと言えますので、依頼前に具体的なサービス内容や対応の丁寧さ、明確な料金提示を受けるなどして、価格だけにこだわるのではなくトータルバランスを重視することが大切です。
また、遺品整理をした後、実家に住む予定がない場合は空き家活用を行うのがおすすめです。
空き家は所持しているだけで税金をはじめとした維持費がかかりますから、効果的な空き家活用を行い、資産的なメリットを高めたいのであれば、空き家活用会社にあらかじめ相談すると良いでしょう。
生前整理のメリット
親が実家に住んでいる場合、将来的なことを踏まえて予め取り組んでおきたいのが「生前整理」です。
生前整理は「親が亡くなった時に残された家族が困らないよう、生前のうちに整理しておくもの」というイメージが強いでしょうが、実際のところさまざまな面でメリットを生み出すものです。
【生前整理のメリット】
・親が元気なうちに実家の整理をしておくことで、親自身の将来的な不安を解消できる
・親と一緒に生前整理を進めることで、必要なものとそうでないものを分類しやすい(貴重な品などを誤って処分する事態を防げる)
・相続関係の取り決めなどを行っておくことで、相続問題のトラブル防止に役立つ
・遺言書を残しておくことで、希望する形での遺産分配を実現できる
・不動産の取り扱いについて決めておくことで、売却・活用など、残された家族が使い道に困らない
つまり、生前整理は残された家族のためだけに行われるものではなく、将来的な懸念点を予めクリアしておくことで、親と子、双方が安心して暮らしていけるメリットがあるのです。
親の立場としては当然、残された家族に少しでも負担をかけたくないと考えるもの。
だからこそ生前整理は「死のための整理」ではなく、将来的な不安や懸念を解消できる「親と子がよりよく生きていくための整理」と考えるようにしましょう。
特に最近では、30代・40代のうちに生前整理を含む「終活」に取り組むケースも増えていますから、早過ぎるということはありません。
出来れば、生前整理のメリットを親に説明したうえで、親と協力しながら二人三脚で進めていくのが効率的な生前整理の秘訣です。
親が倒れたら何をすれば良い?実家の片付け・生前整理などのよくある悩みと解決法も解説
空き家の整理まとめ
空き家を放置すると、「特定空家」への指定や犯罪リスクなど、さまざまな問題が起こるリスクを高めてしまうため、早め早めに整理しておくに越したことはありません。
では最後に、今回のおさらいとして「空き家整理のポイント」を改めてまとめておきましょう。
・空き家整理を業者に依頼する場合は費用だけで判断しない
・提供サービスや得意分野などを把握し、相性の良い業者を見つけることが大切
・空き家活用まで視野に入れて整理することで、後々の資産価値を高めやすい
・「空き家の整理+活用」をまとめてサポートしてくれる空き家活用会社も選択肢のひとつ
空き家の効果的な活用方法を見出すには、専門的な知識や経験に基づいたノウハウが求められます。
アキサポでは、空き家の整理やリノベーション・活用に至るまで、幅広いご相談に広くお応えしていますので、お気軽にご相談ください。